トップアスリート×47都道府県

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その他

トップアスリート×47都道府県(福岡) バドミントン 池田信太郎

大舞台から世界を見たい。納得できるパフォーマンスを。

頑張るときはいつも今 悔しさを経験に変えて

「より強くなれば、見えてくるものが違う。せっかくここまでやってきたのだから、もっと上を見たい」という思いで夢の舞台に臨んだのが2008年、北京での五輪初出場でした。
男子ダブルスで大舞台のコートに立った北京五輪は、前年の世界選手権で3位というベストのプレーをしたこともあり、メダルが懸かっていました。しかし、1回戦でマレーシアペアにストレート負け。完璧を求め過ぎた結果でした。「負け」は悔しいですが、後悔はしません。悔しさを経験に変え、前進しているからです。
北京五輪後に私と同じように競技を続けるか悩んでいた潮田玲子選手。08年末、ペアを組まないか、と日本バドミントン協会から打診がありました。「誰かが日本の混合を強くしなければ」と、09年、日本初の混合ダブルス専門ペアを結成しました。この挑戦が成長につながると信じて。
徐々にペアの成熟度も高まり、今年6月のシンガポール・オープン決勝では、五輪や世界選手権に次ぐ格付けとなるスーパーシリーズで初の準優勝を飾りました。
迫るロンドン五輪は、1週間後の開幕。バドミントン界で史上初のメダル獲得も期待されています。緊張とリラックスのバランスを大切にし、自然体で、練習してきたことを出し切りたい。結果も大事ですが、自分が納得できるパフォーマンスを発揮できるかにこだわりたいです。

バドミントンの町、岡垣 スポーツで地域を元気に

小学1年のとき、元国体選手の父が地元・福岡県岡垣町で主宰する「岡垣ジュニア」でラケットを振り始めました。岡垣から五輪選手を出すことは父の夢でもありました。
中学3年の夏まで身長150センチと小柄でした。背が低い分、体格の大きな相手との差を埋めるためにネットプレーを磨きました。
町には4つのクラブがあり、対抗戦を行うほどバドミントンが盛ん。お互いが切磋琢磨(せっさたくま)することでレベルの高い選手が育ち、そのOGやOBが若手を指導し、さらにレベルが上がり、地域全体も盛り上がったと思います。
今後は、一般の人も参加できるイベントなどを開き「バドミントンの町・岡垣」をもっとアピールしたい。スポーツを通じ、多くの人に岡垣町を知ってもらえば、地域はもっと元気になれるはず。私自身も何らかの形で力になりたいです。

池田 信太郎いけだ しんたろう

1980年福岡県岡垣町生まれ。九州国際大付高、筑波大を経て、2003年日本ユニシス入社。07年世界選手権3位、北京五輪出場。09年にペアを組んだ潮田玲子選手とロンドン五輪でメダルに挑む。175センチ、69キロ。

福岡県内のtoto助成事例

地域に根を張り、生涯スポーツ支える

NPO法人 ウェブスポーツクラブ21西国分総合型地域スポーツクラブ活動助成

クラブ運営に情熱を注ぐ櫻木さん(右)ほか指導者

健康教室で体操を楽しむ地元住民

久留米市諏訪野町のNPO法人「ウェブスポーツクラブ21西国分」が運営する「総合型地域スポーツクラブ」は、スポーツを通じた健康づくりや人材育成に取り組んでいる。
同市西国分小地区のスポーツ団体などが2002年に設立。会員は4歳から84歳までの約450人。スポーツ振興くじ(toto)助成を受け、04年に活動拠点となるクラブハウスを整備した。

施設管理や指導者派遣、県南クラブの核に

クラブは、toto助成を受け、健康教室やヨガ、太極拳などのスポーツ教室や交流イベントを運営。会員は「楽しく運動できる」「腰痛も改善した」などと口をそろえる。
一方で、市から委託を受け、地元の小中学校体育館など4施設を運営管理し、29のスポーツ団体に練習場を調整する。また、近くの6つの小学校の体育の授業に、体操や水泳の指導者を派遣。「児童がより興味を持って取り組める」と、学校関係者の支持を得ている。
クラブマネジャーの櫻木英一さんは「地元の指導者を発掘し、県南の拠点クラブとして、活動範囲を広めたい」と話す。

逸材見いだし、未来のメダリスト育成

福岡県タレント発掘事業将来性を有する競技者の発掘育成活動助成

力いっぱい水球の練習に励む桑名さん(右)ら受講生

県立スポーツ科学情報センター

一流アスリートの“原石”を発掘し、未来のメダリスト候補に育てる福岡県の「タレント発掘事業」が成果を挙げている。輩出した選手は、過去9年で世界大会などへの出場延べ9回、全国優勝延べ19回の成績を挙げた。
全国に先駆け2004年に始め、小学5年から中学3年の選手を一貫指導する。競争率700倍以上の難関試験を経た受講生150人が、毎週土曜日の2時間、県立スポーツ科学情報センター(福岡市博多区)を拠点に練習に励む。運営費は、スポーツ振興くじ(toto)助成金を活用している。

才能伸ばす一貫指導と科学的トレーニング

受講生は1~2カ月単位で、各競技団体が派遣する指導者の下、水球やフェンシングなどさまざまな競技に挑戦。適性種目を探り、種目を変える選手もいる。また、競技だけでなく知的能力も身に付ける。
近代五種JOCジュニアオリンピックカップで初優勝した飯塚市立鎮西中3年の桑名知可子さんは「トライアスロンか近代五種で五輪メダルを狙いたい」と夢を語る。事業実行委員会事務局の中野一成さんは「皆が憧れる、地域のトップリーダーを育てると同時に、スポーツを通じた人格形成も図りたい」と話す。