インタビュー

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5大会出場オリンピアンが未来に伝えたい スキー競技の魅力と学び(3/3)

フリースタイルスキー・モーグル 上村愛子さん

日本で国際大会の開催を「子どもたちに必要なビジョンを見せてくれる」

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 長野大会に出場したのは18歳の時。その後、競技を続ける中では様々な心の葛藤を経験した。多くの長所が見つかる一方で、ライバルに対して妬みや嫉みを抱く自分にも直面。「競技をしていなければ、知ることができなかった自分の感情も知ることができました。それを受け入れて、噛み砕いて消化できるか。そこを乗り越える強さを知ると自分のこと以外にも視野が広がり、周りで支えてくれる方々への有り難みが理解できたり、人間力みたいなものがついたり。競技をしていなければどんな人間だったのか、ちょっと想像がつかないくらいです」と打ち明ける。

 そんな競技の魅力や競技から得る学びを知るからこそ、一人でも多くの子どもたちがモーグルを知るきっかけを提供したいと、引退後は積極的に普及活動に携わっている。その中で上村さんが何よりも大切にしているのは、子どもたちに「楽しい」という気持ちを持ってもらうことだ。

「目をキラキラさせて『次の合宿も行きたい』と言ったり、たまに『今までやってみたいと思えるものがなかったけどモーグルに出会えて良かった』と言ってくれる子がいるんです。一生懸命やりたいことが見つけられたと言われるとすごくうれしくて。お手伝いしている長野県スキー連盟のモーグル体験会からは、北京オリンピック日本代表の冨高日向子選手が誕生しました。どの子が成長するか最初は分からないけれど、モーグルが楽しくて好きと続けてくれた結果。その中で最初のきっかけは作れたかもしれないので『よかったね』と長野のみんなで話しています」

 子どもたちが競技と出会うきっかけとなる体験会の開催や地域のスキー場におけるリフトの整備、トップ選手が出場する国際大会の開催など、日本のスポーツを支えるために幅広い分野で活用されているのがスポーツくじ(toto・BIG)の収益による助成金だ。上村さんは「以前は選手や関係者が持ち出しで合宿をすることもありました。今は助成金のおかげで選手の強化や育成の他にも、いろいろな事業を応援してもらえるようになりました」と話す。

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 また、上村さんは自身の経験を踏まえながら、感受性が豊かな子どものうちに“本物”を知る重要性についても説く。

「私が初めてモーグルを見たのが、実はカナダでのワールドカップでした。世界トップレベルの選手がモーグルをする姿を見てかっこいいと思えたんです。モーグルは長らく日本でもワールドカップが開催されています。国際大会を間近で見ることは、子どもたちに目標を立てるために必要な景色を見せてくれる。その競技の最高峰を見てハッとしたり刺激を受けたり、そこからもっとトレーニングを頑張ろうと思ったり。コロナ禍が落ち着いたら、また国際大会を日本で開催してもらいたいですね」

 この先の未来もずっとモーグルが愛される競技であり続けるよう、上村さんも活動を続けていく。

(当記事は2021年12月に新型コロナウイルス感染症対策を行った上で取材・撮影を行いました。)

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上村 愛子うえむら あいこ

1979年12月9日、兵庫県生まれ。2歳の時に長野県に移り、白馬で育つ。小学生の頃はアルペンスキーを親しみ、中学2年の時カナダへ旅行した際にモーグルのワールドカップを観戦。トップ選手の滑走に魅せられて転向し、4年後の1998年に18歳で長野オリンピックに出場、7位入賞を果たす。その後は日本のエースとして、2014年のソチオリンピックまで5大会連続で出場し、いずれも入賞。世界トップ選手の一人として、ワールドカップ種目別年間優勝、世界選手権優勝を果たした。3Dエア(コークスクリュー720)を最初に完成させ、カービングターンを武器とするなど、女子モーグル界における技術の先駆者としても知られる。現在はフリースタイルスキー普及のため、次世代の選手育成にも力を注いでいる。

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