インタビュー

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「不可能とは可能性だ」パラノルディック界エースを支えた色紙の言葉(2/2)

パラノルディックスキー 川除大輝選手

憧れからライバルへ 新田選手の色紙から学んだ諦めない姿勢

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 新田選手の後継者と呼ばれるのには理由がある。小学4年生だった2010年、バンクーバーパラリンピックで金メダリストとなった新田選手に出会い、「不可能は可能性だ」と書かれたサイン色紙をプレゼントされた。それ以来、新田選手は特別な存在となった。

「小さい頃は憧れが一番大きくて、ライバルだなんて思ったことはありません。でも、競技を続ける中で一緒に滑る機会が生まれ、だんだん離れていた成績が縮まってきた時に、目指して越えたいというライバルのような想いも出てきた。最初に目標を与えてもらって、そこから越えたいと思うようになる、その関係が良かったのかなと思います」

 色紙に書かれた「不可能は可能性だ」という言葉。小学生には難解すぎて、ただサインをもらったことが嬉しかったが、年齢とキャリアを重ねるうちに自分なりの解釈が生まれた。

「矛盾している言葉に感じますが、一度ダメだったとしても、また挑戦したら敵うことがあるし、(挑戦は)自分の成長に繋がる。1回できなくても、何回でも諦めずにチャレンジを続けよう、という意味で僕は捉えていました」

 諦めずにチャレンジを続けた結果、手に入れた金メダル。憧れでありライバルでもあった新田選手に大舞台で勝てた嬉しさこそあれ、「越えたな、と思うこともなく」、一緒のレースで互いに全力を出し尽くした経験が宝物となった。

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 北京から帰国した後、富山で開催された大会に参加すると、レース後に色紙を持った子どもたちに囲まれた。サインを書いたり、メダルを見せたり、一緒に写真を撮ったり。子どもたちが大喜びする姿に「昔の自分の気持ちを思い出しました」と柔らかな笑顔を浮かべる。

「すごく喜んでもらえて、逆にこっちも嬉しくなりました。僕は深い言葉を書いたわけではありませんが(笑)、子どもたちがスキーを続けようという気持ちになってくれたかなと思います。クロスカントリーは人数が少ないので、選手が増えたらいいなと思いながらサインを書きました」

 12年前、新田選手から手渡されたサイン色紙に込められた想い。これからは川除選手が次世代へと繋いでいく。

(当記事は2022年6月に新型コロナウイルス感染症対策を行った上で取材・撮影を行いました。)

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川除 大輝かわよけ たいき

2001年2月21日、富山県生まれ。日本大学/日立ソリューションズ ジュニアスキークラブ所属。生まれつき両手足の指が一部ない先天性両上肢機能障がいがある。小学1年生から地元クラブでスキーを始め、中学3年生だった2015−2016年シーズンからパラノルディックスキーの大会に出場。高校に進むと全国高等学校総合体育大会(インターハイ)に出場。2018年には高校2年生で平昌パラリンピックに出場した。翌年にノルディックスキーの強豪・日本大学に進み、健常者の大会にも出場。2022年の北京パラリンピックではクロスカントリー男子クラシカル20キロ(立位)で優勝したほか、出場全種目で入賞を果たした。

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