トップアスリート×47都道府県

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トップアスリート×47都道府県(兵庫) 陸上 伊東浩司

楽しいから走る その先のゴールには笑顔があふれている。

100分の1秒その先へ 限界はないと思った

100メートル10秒00の日本記録を出してから、もう10年以上になります。アジア大会の準決勝。当時の映像を見るとユニフォームやシューズが古臭く、ひと昔以上前になりました。確かに速く走ったので、すごく進んでいる感じがあり、あまり苦しくもなく、筋肉の疲労が比較的少なかったのを覚えています。
当時は100分の1秒を競い、次のラウンドへ進むことに限界を感じたことがなく、練習も「努力」だと思ったことがなかった。今の選手を見ると、心の限界をすごく感じるときがあります。自分で壁をつくってしまう。短距離はメンタルなスポーツ。シューズが格段に進化したのに、いまだに記録が破られない理由のひとつかもしれません。

スポーツ文化を楽しみ育む人を一人でも多く

今は大学で健康をテーマにした講義を行い、女子陸上部を指導しています。トップアスリート育成には携わっていません。というのも、最後は自分にしか分からない感覚があって、踏み込んだ指導を選手に強いるのがいいのか、躊躇してしまうからです。
それと、中学から陸上を始めたのですが、市や県の決勝レースに並んでいた同級生が、高校ではほとんど残っていない。早熟な子どもほど、周囲に期待され、伸び悩んでしまう。そんな姿を見てきて、早い段階で特化するのではなく、様々なスポーツに触れ、楽しさを知り、始めるきっかけとなる環境づくりが大切ではないかと。自発的に陸上をやりたいと思うのが一番いい。
昨年からサッカーJリーグの地元チーム・ヴィッセル神戸の運営で、小学生を対象に甲南大グラウンドで月2回、アスレチッククラブを始めました。走ったり飛んだり、陸上競技の運動を通じて年齢にあった体の動かし方をトレーニングします。
大学の講義ではオリンピックイヤーなので、ドキュメンタリー映像や新聞の特集なども取り上げています。メジャーなスポーツばかりだけでなく、様々な競技に触れる機会を増やしたい。ドラマチックな映像や心に響く記事に感動を覚えたら、伝える側になってもいい。それぞれの立場でスポーツの素晴らしさを広め、文化として育む人を増やす。そんな土台づくりが、今はとても大切だと思います。

伊東 浩司いとう こうじ

甲南大学スポーツ・健康科学教育研究センター准教授 1970年、神戸市生まれ。短距離走者としてオリンピックなど国際大会で数々の好成績を収める。100メートル走の日本記録保持者。

兵庫県内のtoto助成事例

夜間照明備え地域交流や合宿に人気

淡路ふれあい公園地域スポーツ施設整備助成

オープン時に開催されたグラウンドゴルフ大会


兵庫県・淡路島南部のほぼ中央にある山間のリゾートスポーツ施設・淡路ふれあい公園。休日には地元の家族連れや島外からのレジャー客らでにぎわう。一画にある広さ7300平方メートルの第二グラウンドが21年春、スポーツ振興くじ(toto)助成を受け、芝生の多目的グラウンドに整備された。
縦80メートル横60メートルの芝生コート1面がとれ、夜間照明6基も備える。同年9月のオープニングのグラウンドゴルフ大会には近隣の住民らが集うなど、地域のスポーツ交流拠点として定着。現在は地元の少年サッカーチームが週3回、ナイター練習や試合会場として定期的に活用している。
公園内にある宿泊施設サンライズ淡路が運営しており、夏場は京阪神から合宿に訪れる高校運動部などの予約でいっぱいだという。
今後、利用状況をみながら傷んだ芝生などの再整備も検討している。また、実業団の陸上部などトップアスリートの合宿誘致を模索するなど、地元のスポーツ振興への波及効果にも期待が寄せられている。

サッカーファミリーのすそ野を拡大

(一社)兵庫県サッカー協会スポーツ団体スポーツ活動助成


元Jリーガーの和多田さんから指導を受ける小学生ら

兵庫県サッカー協会はスポーツ振興くじ(toto)助成を受け、小学4年生以下によるU-10フットサル大会を昨年度から始めた。少子高齢化で児童数が減るなか、既存のサッカー大会とは別に、1チーム5人と低学年でも参加しやすいフットサルで、サッカーファミリーのすそ野を広げる試み。
県内各地に増えた民間のコートを活用し、昨年度は11支部126チーム1264選手が参加。地区予選の上位24チームが年末の県大会で熱戦を繰り広げた。今年度も6月に予選が始まった。
また、地元ゆかりの元JリーガーやLリーグ、フットサルリーグの現役選手ら2~4人を、希望チームの練習に無料で派遣するサッカークリニックも22年度から開いている。
各リーグがシーズンオフの冬季を中心に、県内20カ所ほどを訪問。個人スキルやグループ戦術などを3時間ほど指導する。プロのコーチングが受けられるとあって、試合観戦が難しい地方では特に、選手のモチベーションを高める貴重な経験となっている。