私たちの街のGROWING

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地域の力で長年支えられてきた、福井県あわら市のカヌーポロ大会

福井県あわら市

 カヌーポロというスポーツをご存じでしょうか。カヌーポロとは、ハンドボールとバスケットボールを融合したようなウォータースポーツです。各チーム5人の選手が、時にはカヌーをぶつけ合いながらパスやドリブルを行い、相手ゴールへのシュートを狙う迫力ある様子から「水上の格闘技」とも言われています。そんなカヌーポロの聖地と言われるのが、福井県あわら市です。毎年「あわらカップカヌーポロ大会」が開催され全国から選手が集います。なぜあわら市でカヌーポロの大会が開催され、聖地と呼ばれるに至ったのでしょうか。あわら市教育委員会スポーツ課 スポーツ振興・育成グループ 主事の坪田さんにお話を伺いました。

カヌーポロを、あわらの町のスポーツに。

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あわら市教育委員会スポーツ課 スポーツ振興・育成グループ 主事の坪田さん

 福井県の最北端に位置するあわら市。市内には、福井県屈指の温泉街である芦原温泉を有し、その名湯は与謝野晶子などの著名人にも愛されたと言われています。そんな老舗の温泉街にカヌーポロが根付いた理由は、町の歴史や自然環境が深く関係していると、坪田さんは言います。

 「あわら市には、北潟湖(きたがたこ)という広さ約2.16km²、一周約14kmの湖があります。あわら市の前身である旧芦原町の頃に、この北潟湖を活用する計画が持ち上がり、町ぐるみでカヌーポロに力を入れたのがはじまりだと聞いています。カヌーポロには、流れのない静水の水辺が適していますが、北潟湖は湖面が静かで穏やかな湖で最適な環境です。それにカヌーポロは漕ぐ・ターンする・ボールを投げるといった様々な動きが求められ、カヌー技術を総合的に上達させることができます。こういった理由から芦原町のスポーツにふさわしいと決められたようです」

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 町技に定められる以前は、この地域でも決してメジャーなスポーツではなかったというカヌーポロ。活動を盛り上げるために1990年に「第1回あわらカップカヌーポロ大会」を開催し、2022年には33回目の大会を迎えました。

 「回を重ねるごとに次第に参加者が増え、2022年の8月19日から21日に行われた大会では、3日間で延べ約540人の選手が参加しました。これは日本で最大級の規模を誇ります。
 また、特徴的なのが、多くの人に楽しんでもらえるように幅広い参加部門を設けていること。小・中学生が参加できるジュニア部門や、初心者が競技を楽しめるビギナーズマッチ、日本代表レベルの選手が熱戦を繰り広げるチャンピオンズリーグなど、多くの試合が行われ、自分のレベルにあった部門に参加することができるのも魅力の一つです。今回はコロナ禍により、残念ながら海外の選手は参加していませんが、前回は台湾やシンガポールからのチームも参加し、参加人数は700人を超えました」

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 そう坪田さんが語る通り、デビュー戦を迎える小・中学生の試合ではあたたかい声援が飛び交う一方で、日本代表選手も参加する試合では、白熱した試合を観客が食い入るように見守ります。スピーディな試合展開や、華麗なパスなど、見るだけで楽しめるのもカヌーポロの醍醐味です。

地域の力で、選手と参加者に楽しい大会を。

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 また、開催にあたっては実行委員会を組織。あわら市民が一丸となって選手や来場者をもてなします。

 「大会の運営は、カヌー関係者や市民の方々で構成される実行委員会の皆さんと連携して行っています。一年を通して会議を行い、どのような大会にしたらいいか、皆で一生懸命話し合うんです。もちろん大会ですから勝ち負けはありますが、選手や来場者にカヌーポロを楽しんでもらうことが最大の目的。どうしたら大会が面白くなるかを最優先に考えています」

 何度も会議を繰り返すことで、市民の声を取り入れた大会が出来上がるといいます。

 「豪華商品が当たるお楽しみ抽選会を行ったり、ダーツを行ったりと、選手の皆様や来場者が楽しめるように趣向を凝らしています。コロナ禍で今年は見送りましたが、いつもは地元の農家の方々からいただいたお米や野菜でハヤシライスを作り振る舞っています。福井県は米づくりが盛んですし、『越のルビー』というミディトマトが有名です。地元の食材を活かしたハヤシライスは絶品で毎年大人気。地元とのつながりが強い大会でもあります」

 大会が始まって30年余り。競技力の向上はもちろん、市民のスポーツ普及の面でも大会が果たす役割は大きいようです。

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 「あわら市内の小学生は、毎年夏休みに授業の一環として、学校のプールや北潟湖でカヌーポロを学びます。僕も小学生の時にカヌーポロを初めて体験し熱中し、その後ずっと競技を続けて、国の代表選手に選ばれるほど打ち込んできました。
 オリンピックや国体競技ではないことから、全国的には競技人口が少ないスポーツですが、あわら市内では人気のスポーツであり、競技を行っている人も多いと思います。市内にカヌーポロのクラブチームは5〜7チームありますし、部活動として取り組んでいる学校もあります。あわら市から有力な日本代表選手が何人も輩出されているんです。
 それに、市がカヌー艇の貸し出しも行っていますし、今回の会場となっている北潟湖のコートは誰でも予約できます。カヌーポロの体験教室も開催しており、いつでも気軽にできる環境というのは大きいと思います。競技の普及に貢献できていると思いますね」

国内最大級の規模を、この先も続けるために

 さらに、大会を開催することは地域活性化の一面もあるといいます。

 「あわら市内には芦原温泉街がありますが、大会前は全国や世界から選手が集まり、宿泊の予約が増えているようです。それに、お楽しみ抽選会では福井県のブランド米を賞品としてプレゼントしており、地元の魅力の発信にもつながっていると思います。そういった地域への経済効果も、大会が長年続いてきた理由かもしれません」

 一方で、人口約2.7万人(2022年1月1日時点)の市で、国内最大級の大会を維持し続けていくのは困難もあります。そこで 2019年から大会の運営にスポーツくじの助成金を活用しています。

 「カヌーポロはアクティブなスポーツのため、備品の消耗が激しいんです。競技に使うボールは1シーズン使うとどうしてもボロボロになってしまう。壊れてしまうと安全面にも関わってくるので、助成金を活用してボールなどの備品を購入しています。また、安心して参加できるよう小学生選手の送迎バスや大会用のテントにも助成金を活用しています。小さい頃から長年選手として大会に参加していますが、以前と比べて環境がよくなり、大会が進化している気がしますね。助成金を活用できることが、国内最大級の大会を続けられる一因だと思います」

さらに今年度の大会では、大会の進行を円滑にするためにスポーツくじの助成金を活用しました。

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「大会では、試合後の選手がそのまま審判を行うことも多いんです。誰が選手か、誰が審判か、わかりにくいという声もあり、審判用のビブスを導入しました。今年はお陰でスムーズに進行できたと思います」

 今後は歴史ある大会を更に発展させ、次世代につないでいくことが目標です。

 「現在も国内最大級の大会ではありますが、それをこれからも続けていきたいですね。選手にとっても、運営を行う自分たちにとっても、数ある大会の中でも一番楽しい大会だと思っていますし、そんな楽しめる大会づくりを今後も続けていきたいと思います。特に地元の方々の協力なしでは開催できない大会ですので、これからも連携して地元に貢献していきたいですね」

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 町のスポーツとしてゼロからスタートしたカヌーポロという競技は、長い年月と地元の人々の協力を経て、町を代表するスポーツとなり、国内最大級の大会へと進化しました。今後もこの町から新しい世代へ、カヌーポロの魅力が広まっていくことでしょう。

アンケートにご協力ください。

Q1

本記事を読んで、スポーツくじ(toto・BIG)の収益が、日本のスポーツに役立てられていることを理解できましたか?

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