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心を一つにつかんだ銀メダル 栄光に続くチームビルディングとは(2/3)

厳しかったホーバスHCに感謝「練習よりも試合の方が全然楽」

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 2009年から日本代表としてプレーするが、ホーバスHCの練習は「厳しかったですね」と苦笑いする。「選手の力を最大限に引き出してくれる」一方で、限界の少し上をいくプレーを求められた。

「自分の最大限を常に求められる。できないことはないですが、常に出すのはすごく大変。ただ、それをやり続けるとできないことができるようになったり、できる回数が増えていくんです。自分たちのスタンダードが徐々に上がることを実感しました」

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 ホーバスHCの指導は妥協がなく、細部を徹底する。例えば、髙田選手は「足の角度」。他の指導者には許容範囲であっても見過ごさず、わずかな差がプレーには大きな影響を与えるといい、「それは違う」と何度も何度もやり直し。「本当に細かいところを大切に繰り返すので、試合の大事な場面でも苦手だったことができるようになっていました」。細かな基礎を大切に、一つ一つ積み上げた。

「体力的にもそうですし頭もすごく使ったり、色々な意味で厳しかったです。でも、そのおかげで練習よりも試合の方が全然楽だという気持ちで臨めたことは、すごく大きかったと思います」

 金メダルを目標に掲げるチームは、その第一段階として初戦のフランス戦に全神経を集中させた。日本が入った1次リーグB組には強豪・アメリカもいる。B組で上位2チームとなり決勝トーナメントへ進むには、フランス戦での勝利は必須だった。

「フランスはとにかくバランスがいいチーム。身長の高い選手にシュート力がありますし、ガードやフォワード陣の機動力、日本人とは差が出てしまう身体能力の高さもある。ヨーロッパでも結果を残しているチームなので簡単には勝てないという意識で練習をしていました」

 迎えた7月27日の初戦。緊張の一戦になるのかと思いきや、チームを包んだのは笑顔の輪だった。第1クォーターでは4点リードを許したが、フランスの高さに動じることなく、精度の高い3ポイントシュートで追い上げ、第3クォーターで逆転。ハツラツとしたプレーで流れを引き寄せ、74-70で白星を飾った。

「みんなが過度に緊張することなく楽しめたことが勝因の一つ。楽しめるくらい準備してきた自信は大きかったです。この勝利で、自分たちのバスケットボールが通用した、間違っていなかったという自信も生まれました。ここを勝ちきることができたから、最後まで勢いに乗れたと思います」

 大会を通じてチームが成長する様も感じたという。合宿からホーバスHCは選手それぞれに明確な役割を与えていたため、個々の目標を定めやすかった。「(個々が)自分の役割を最低限果たせたことでリズムが生まれ、本来持つ力を出し切ることに繋がった。メンバー12人がどの試合にも出場して貢献するのはなかなかないこと。チームで戦っていると実感しました」。勝利という結果が積み重なるたび、チームの結束と自信が増していった。

 快進撃を続けた日本は、決勝トーナメントも勝ち抜いて、ついには決勝進出。アメリカの牙城は崩せなかったが、日本バスケットボール史上初の銀メダルを手に入れた。「大会を通じて女子バスケットボールの笑顔がすごく良かったと、多くの方が言ってくださった。それくらい選手はみんな楽しめていたんだと思います」。そう振り返る顔にも大きな笑みが浮かぶ。

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