インタビュー

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自分で限界を作らない 夏冬“二刀流”に挑むパラリンピアンが見る景色(3/3)

パラアルペンスキー 村岡桃佳選手

伝えたいスポーツの魅力「村岡桃佳という人間を作り上げたのはスポーツ」

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 時に距離を置きながらも、およそ15年の長い付き合いになるスキーの魅力について、村岡選手が真っ先に挙げたのは「スピード感や爽快感」だ。同時に、パラアルペンスキーの魅力は「異なった障がいがある選手たちが、同じフィールドで戦うこと」だと話す。

 パラアルペンスキーでは、立位、座位、視覚障がいという3つのカテゴリーに分かれてレースを実施するが、滑るのは同じコースだ。各カテゴリーでは、さらに障がいの種類や程度、運動機能などによってクラス分けされ、実走タイムに各クラスに設定された係数を掛けた計算タイムで順位が決まる。

 自分とは異なる障がいがある選手のパフォーマンスに驚かされることもしばしば。村岡選手は「全盲の選手が音声ガイドのサポートを受けながらでも、コースを滑る姿を見て『本当に?怖くないの?』と思います」と目を丸くする。

 東京パラリンピックでは、パラアスリートたちが見せた全力のパフォーマンスから人間が秘める可能性の大きさを学んだり、パラスポーツそのものへの理解を深めた人も少なくなかったのではないだろうか。

「東京パラリンピックを経て、本当に多くの人たちがパラスポーツに対する考え方や見方を変えたのではないかと感じています。北京で言えば、私が取り組むアルペンスキーは健常者や競技を知らない方が見ても格好いいと思ってもらえる種目。その魅力について選手たちがもっと発信しなければいけませんし、メディアの方々にも東京で終わりにせず継続してスポットを当てていただければ嬉しいです」

 スポーツくじ(toto・BIG)の収益による助成金もまた、次世代を担うパラアスリートの発掘・育成や日本での国際大会の開催、地域のスポーツ施設のバリアフリー化などに活用され、パラスポーツが普及・発展するサポートを続けている。

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「こういう取り組みはすごく有難いこと。障がいがあると行ける場所に制限があったり、必ずしも全ての施設が利用しやすいとも限りません。利用しやすい環境を整備していただければ、行動の幅が広がりますし、スポーツに取り組もうという人も増えると思います。自宅の近くに『今日も行こう』と思える施設があれば、スポーツの普及はもちろん、心身の健康の維持にも繋がっていくのかなと思います」

 障がいがあってもなくても、一人でも多くの人がスポーツに親しんでほしい。村岡選手がそう願うのは「村岡桃佳という人間を作り上げたのはスポーツ」と感じているからだ。

「車いす生活になって少し内向的になった私が、これが自分自身だと思えるようになったのはスポーツと出会ったから。進学したりパラリンピックに挑戦したりできたのも、私の基盤となる考え方や人格を形成されたのもスポーツのおかげです」

 東京から始まった二刀流挑戦が、誰かのスポーツを始めるきっかけになったら――。それこそが村岡選手にとって、本当の金メダルになるのかもしれない。

(リモートでの取材を実施)

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村岡 桃佳むらおか ももか

1997年3月3日、埼玉県生まれ。4歳の時に脊髄炎の影響で車いす生活になる。小学3年生でチェアスキーと出会い、中学2年生で競技スキーの世界へ。17歳で日本代表に初選出され、2014年のソチパラリンピックでは大回転で5位入賞を果たす。2018年の平昌パラリンピックでは、大回転優勝を含む出場5種目全てでメダルを獲得し、冬季パラリンピックにおける日本人選手史上最年少金メダル、1大会あたりでの日本人最多メダル(5個)を手にした。2019年の世界選手権では金メダル2個、銀メダル2個、銅メダル1個を獲得。同年のワールドカップでは初めて年間総合優勝に輝いた。2019年4月からパラ陸上競技短距離にも本格的に取り組み、2021年の東京パラリンピックでは100メートル(T54クラス)で6位入賞を果たした。

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