インタビュー

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「自分にとって大きな力」 北京パラリンピック旗手が感じた応援の力

パラノルディックスキー 川除大輝選手

川除選手に「やる気」を与える競技の魅力と応援の力

 北京パラリンピックでは日本代表選手団の旗手を務め、出場したクロスカントリースキー男子クラシカル20キロ(立位)で金メダルを獲得した川除大輝選手。小学1年生からスキーを始め、世界の頂点に立つまでの道のりは決して平坦ではなかった。それでも、競技について問われると「今まで辛いから辞めたいと思ったことはないんです」と屈託のない笑顔を浮かべる。

「クロスカントリーは基本的に寒くて辛いけど(笑)、その中でも達成感を得られる。どの競技でも同じかもしれませんが、辛い練習を終えた後の達成感や、練習の成果が試合結果として出てくるのも楽しいですね」

 雪で覆われた野山で練習をしながら「この坂、きついなぁ」と息を切らすこともあれば、雪山独特の静寂の中で「無」になって練習に没頭したり、仲間と一緒に走る時は楽しさで時間の感覚を忘れてしまったり、クロスカントリースキーが持つ様々な顔に魅力を感じている。そして、冬の自然を相手にする競技だからこそ堪能できる風景にも心奪われているという。

「競技云々ではなく、ただただ雪の中を歩くだけでも景色がきれい。雪が降っている時は辛くても、晴れると本当にきれいなんです。北海道の旭川には山のてっぺんまで行くと一気に視界が開けるコースがあって、夕方には絶景が見られます。海外での合宿や遠征でも、例えばフィンランドに行けばオーロラが見られることもある。こういう楽しみもあるから、練習に対するやる気が出てくるんだと思います」

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 美しい自然とともに、川除選手にエネルギーを与えてくれるものがある。それが色々な人々から届く「応援」だ。2015年から所属する日立ソリューションズのチームAURORAでは、国内で開催される大会には社員が応援ツアーを組んで駆けつけてくれる。

「普段はあまり接点が持てない社員の方々と、大会の応援を通じて触れ合うことができる。自分の名前を呼んで応援してもらえることはなかなかないので、本当に嬉しい想いがありました。平昌パラリンピックの時も韓国まで来てくださって、自分にとって大きな力になったことを覚えています」

 だが、世界中を混乱に包んだコロナ禍により、スポーツは一時期、無観客開催を余儀なくされた。声援をエネルギーに変えてきた川除選手は「無観客だった時はコーチの声しか聞こえなかったので、本当に『無』の心で走るだけ。気持ちを切り替えるスイッチを入れるところもありませんでした」。当たり前のようにあると思っていた「応援」がいかに尊いものであったか、改めて実感することになった。

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