インタビュー

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「神輿の上に担がれていると思え」 金メダル剣士が感謝する支える力(2/2)

フェンシング 見延和靖選手

フェンシングは「僕の全て」 次世代に伝えていきたい競技の魅力

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 そして、もう一つ大切なことがある。それは先人への感謝を忘れないことだ。

「エペはこれまで金メダルに最も遠い種目だと言われていました。それでも先輩方が疑うことなくチャレンジし、1枚ずつ壁を破って前進し続けた。その挑戦を引き継いだ僕らが、同じように一歩前に進んだ先にあったのが金メダル。僕らだけがエペを大きく飛躍させたとは思っていません」

 東京オリンピックの晴れ舞台に立てたのは、先人の挑戦、そして共に練習してきた仲間の支えがあったから。大会期間を通じて、見延選手はチームメートにこう語りかけていたという。

「『神輿の上に担がれていると思え』と言いました。神輿の上には僕ら代表4人が乗っているけど、その下ではたくさんの人たちが担いでくれている。代表として戦う選手だけが全てではない。フェンシングに関わる全ての人々の想いが一つになったからこそ、金メダルが獲れたんです」

 普段から周囲の支えに感謝する気持ちを持つからこそ、トップアスリートの活動だけではなく、次世代アスリートの発掘・育成、地域のスポーツ大会・教室の開催や施設の整備など、広く日本のスポーツを支えるためにスポーツくじの収益が役立てられていることに感謝する。

「素晴らしい取り組みだと思います。多様性を求められる社会で、日本のスポーツ界ではマイノリティになるフェンシングが、自分を表現できる機会をサポートしていただけている。フェンシングという競技に出会い、練習を続ける環境があったから、今の自分がある。他の競技でも多くの人たちが可能性を広げるチャンスを得られていると思います」

 フェンシングは「僕の全て。この競技と出会い、学んだことで今を生きている。いい指導者と出会い、勝つ経験も負ける経験もたくさんしたから、自分という人間ができた」と言葉に力を込める。だからこそ、さらに多くの人に競技の魅力が伝わり、裾野が広がることを願っている。

「これまでも太田雄貴先輩や武井壮会長が普及のために色々なアイディアを出してこられた。その中で僕は、やはり道具が高価なことに弊害があると考えています。そこで今年1月から『折れ剣再生プロジェクト』を始めました。廃棄していた折れ剣を再利用して、メダルやタグプレートや越前打刃物に作り変えたり、様々なアップサイクル品へのチャレンジをしていますが、最終目標としては、剣に戻して、子どもたちが競技を始めやすい環境を整備しながら、普及していきたいと思います」

 自分の全てでもあるフェンシングを愛するからこそ、現役選手として研鑽を積みながら、普及活動にも力を入れていく。

(当記事は2022年6月に新型コロナウイルス感染症対策を行った上で取材・撮影を行いました。)

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見延 和靖みのべ かずやす

1987年7月15日、福井県生まれ。小学校では空手、中学校ではバレーボールに熱中したが、フェンシング経験者でもあった父のアドバイスを受け、高等学校からフェンシングを始める。当初はフルーレとエペを両立していたが、大学進学後にエペに専念。NEXUS入社後にイタリアで単身武者修行に励むなど研鑽を積み、2015年には日本男子エペ個人でワールドカップ初優勝。2016年にはリオデジャネイロオリンピックの個人戦に出場し、6位入賞を果たす。その後も国際大会で優勝を重ね、2019年には世界ランキング1位&日本人初の年間王者に輝いた。東京オリンピックでは男子エペ団体で日本初の金メダル獲得という快挙を成し遂げた。

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