インタビュー

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インタビュー

「ラグビーの魅力が凝縮されている」自分が試されるセブンズの面白さ(2/3)

7人制ラグビー 中村知春選手 堤ほの花選手 白子未祐選手

リオデジャネイロオリンピックで流した涙「メダル自体が目的になったらいけない」

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「サクラセブンズ」が今、目指しているのは自国開催となる東京オリンピックでのメダル獲得だ。その挑戦は悔しさから始まった。7人制ラグビーが正式種目となったリオデジャネイロオリンピックでは、日本は1勝4敗で1次リーグ敗退となり、10位という結果に終わった。

 当時、主将を務めていた中村選手は「今までピッチ上で泣いたことはなかったですが、すべての試合が終わり、ボロボロになった状態で地球の裏側まで観に来てくれた家族や関係者の皆さんの前で泣いたことが一番記憶に残っています」と振り返る。

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「敗因を挙げるなら、なぜ金メダルを獲りたいか、金メダルを獲ることの先にあるもの、例えば、それは女子ラグビーの価値を上げることでなければいけなかった。なのに、金メダルを獲ること自体が目的になってしまっていた。だから、私たちは弱かったのだと思っています」

 前回大会以降、中村選手は「オリンピックでのメダル獲得やオリンピックへの参加自体が目的になったらいけないよ」とチームメートに言い聞かせてきた。

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「なぜ勝ちたいのか、自分の中で答えがないと、挫折した時に立ち上がれなくなるので。みんなが目指している一番大きな目標は女子ラグビーの価値を上げること。日本代表にいる以上は、そのためにベストを尽くして戦わないといけないと思います」

 日本代表の活躍で競技の価値を上げる。それを見事に実践したのが、2019年に日本で行われたラグビーワールドカップの男子日本代表だ。

「ONE TEAM」をスローガンに掲げた日本代表は1次リーグでアイルランド、スコットランドなどの強豪を相手に4戦全勝。初めてベスト8に進出し、日本中に感動を呼んだ。幼少期からラグビー一筋で楕円球を追っていた堤選手は、かつてない変化を経験したという。

「『女子ラグビーなんてあるの?』と言われていたのが、あれから『ラグビーやっているの? 頑張ってね!』と応援してくれる人がすごく増えました。認識されることがうれしくて、女子ラグビーもこの波に乗って発展していきたいと感じました」

 彼らに続こうと、飛躍を期す東京オリンピック。日本人は海外選手と比べて体格面で劣る。堤選手は年間250日近く行動を共にしている「サクラセブンズ」の強さを、こう強調する。

「運動量は全然負けてない。今はチームとしてパスなどの速さで勝とうとしている。そこは強みです」

 そして、その先に描いているのは女子ラグビーがさらに発展していくこと。幼少期は男子に交じってプレーしてきた堤選手は未来を語る。「子どもの頃に比べて、いろんなクラブチームができたり、女子だけのチームができたり、変わってきたと思います。ただ、私が思うのは日本代表だけが女子ラグビーの夢ということではなく、女性が趣味で活動できるような場が増えて、身近になってくれたら嬉しいです」

◆次ページ:ラグビーという競技が与える教育的価値は「人の痛みが分かること」

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