私たちの街のGROWING
私たちの街のGROWING
プロチーム×市民×企業×行政によるバスケットボールを核としたまちづくり
平成12年に日本初のプロバスケットボールチームとして発足し、日本バスケットボールの最高峰である「B.LEAGUE」で活躍する「新潟アルビレックスBB」。彼らのホームタウンは新潟県第2位の人口を有する、新潟県長岡市です。そんな長岡市の特徴は、全国でもユニークなバスケットボールによるまちづくり。チーム・市民・企業・行政が一体となったオール長岡による「バスケットボールを核としたまちづくり」は、地域を盛り上げるばかりではなく、地元の子ども達にも大きな影響を与えています。まちづくりに至るまでの道のりや、チームが市民に愛される秘訣などを、長岡市 市民協働推進部 市民協働課 アオーレ交流係 主査 佐藤様と都市整備部 公園緑地課 公園整備係 主任 柳橋様のお二人に伺いました。
まちづくりの取り組みが、地域を、スポーツを、学びを盛り上げていく。
長岡市のまちなかを盛り上げたい。そんな想いから誕生した複合交流施設「アオーレ長岡」は、全国で初めて「アリーナ・ナカドマ(屋根付き広場)・市役所」が一体となった空間で、平成24年にオープンしてからは、市民交流の場として栄えてきました。
佐藤「新潟アルビレックスBBのホームタウン移転の話が舞い込んできたのは、アオーレ長岡が軌道に乗ってきた平成27年頃です。バスケットボール新リーグのB.LEAGUE1部に参入する新潟アルビレックスBBが、多くの人を収容できるホームアリーナを探していたのがきっかけです。
そしてチームの考えに賛同した長岡市が、『バスケットボールを核としたスポーツによる市民協働のまちづくり』を宣言し、新潟アルビレックスBB・市民の皆様・地元の企業・長岡が一体となったまちづくりがはじまりました。平成28年のことです。
まちづくりの取り組みは多岐にわたります。まずは地域の人々にワクワクしていただくための仕掛けづくりとして、長岡駅やアオーレ長岡に行くまでの道のりを新潟アルビレックスBBのチームカラーである鮮やかなオレンジ一色で染めています。長岡駅の近くにある大手町通アーケードの皆様にも協力していただいて、オレンジの幕で商店街を彩っているので圧巻です。また長岡駅とアオーレ長岡に行くまでの床には選手の原寸大の足形を、柱には手形を飾って、皆さまをお出迎えしています。
試合を観に来てくれた方々にバスケやまちなかを楽しんでいただくため、様々な工夫を凝らしています。1つは、初心者の方にもわかりやすくルールや歴史などを説明した『バスケの楽しみ方』や、新潟アルビレックスBBを紹介した『アルビBBの楽しみ方』という冊子です。そしてもう1つは『おもてなしサービスマップ』という地域で使えるクーポンマップです。こちらは地元の飲食店などが紹介されており、試合後や後日使える割引券がついているので評判も良いですね。試合が開催されるとコロナ禍以前は3,000人の観客が訪れ、特に試合に勝った日は街が大盛り上がりします。試合の興奮冷めやらぬまま街に繰り出し飲食を楽しまれる方も多いので地域の活性化につながっているように思えますね。試合の様子を店内のスクリーンで放映する飲食店なども増えてきており、市民の皆さんが自発的に盛り上げてくださっていることがわかります。
チームを応援する方や後援会同士での横のつながりも生まれていて、新潟アルビレックスBBのスポンサーと長岡の地元企業がコラボして生まれたオリジナル商品などもありますよ。」
他にも、長岡市がホームタウンになったことで、地域活性化の思いもよらない一面があったと語ります。
佐藤「新潟県は豪雪地帯。雪の降る冬は、どうしてもアオーレ長岡への人出は少なくなりがちでした。一方でリーグのオンシーズンは秋と冬。寒い季節でも、新潟アルビレックスBBの試合がある日は館内の人が増え、街が活気を取り戻すのは予想外の効果でした。一昨年にアオーレ長岡館内で行ったパブリックビューイングでは、200人ほどが集まり熱い声援をみんなで送りました。」
まちづくりの取り組みは、教育委員会も推進しており、活動の場は学校にも広がっています。
佐藤「練習を無料で公開したり、幼稚園児や保育園児を保護者の方と一緒に試合にご招待したりして、バスケットボールに触れる機会を増やしています。あとは、選手の皆さんに市内の小学校で挨拶運動を行っていただいたりしています。『おはよう』と直接声をかけてもらうことで、子ども達は選手達に親近感を覚えますし、トップ選手が率先してお手本となる行動をとることで、子どもたちの間にも挨拶への意識づけができるようになるんです。地元で開催される長岡まつりの時には河川敷のゴミ拾いにもご協力いただき、そういった社会貢献の活動は、子どもにも大人にも良い影響を与えていますね。
こうした積み重ねのおかげでしょうか、スクール授業に入会する子どもも増えたと聞いています。」
好きになったバスケットボールを、もっと気軽に楽しんでもらうために。
平成28年には、バスケットボールをもっと身近に楽しんでもらえるように、アオーレ長岡から1kmほどのところにある長岡市民防災公園に『3×3(スリーエックススリー)』バスケットコートを設置しました。バスケットボール人気が高まっている中で、この屋外のコートはたちまち盛況に。1面しかないコートが連日大勢の人でにぎわうようになりました。
柳橋「コートは大人気で、ボールを持つのもやっとのよちよち歩きの子どもを連れたご家族から、高校生・社会人まで幅広い世代が、たった1面のコートで楽しんでいました。でも混んでいる中で様々な世代の人が遊ぶのは、安全面の課題もありました。
そこで市民の方々からの要望も大きかったことから、令和元年度に、スポーツくじ(toto・BIG)の助成を受けて、新しくコート1面を追加して整備しました。コートが2面になったことで、世代を分けてのコート使用が可能になり、みんなで楽しめるようになりましたね。また3×3の大会もコート1面だけで開催していた時とは比べものにならないくらいスムーズになり好評です。市内には屋外でプレイを楽しめる施設が少ないので、バスケットボールをやりたいと思った時に、地域のすぐ近くに気軽にできる環境があるというのはとても貴重です。長岡市は小さいうちからプロ選手に触れ合える機会がある環境なので、いつかここで遊んでいた子ども達から、プロになって地元で活躍する選手が生まれたら良いなと思っています。」
スポーツによるまちづくりが、この先目指すもの。
佐藤「ショーアップされたアリーナの会場が全部オレンジ色に染まって、その中で選手がカッコよくシュートを決める。すると会場全体がわーっと一体になって盛り上がるあの瞬間は、市民の皆さんから力をもらえるような感じがしてうれしいですね。この仕事をやっているやりがいを感じます。
スポーツチームが自分の街にあるというのは、たくさんの意義があると思うんです。子どもたちにとっては、努力することや夢をもつことの大切さを知る機会を育むことができ、スポーツによる青少年の健全育成を促すこともできます。またスポーツ選手は、とても影響力がありみんなの憧れの存在でもあります。
今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、暮らしが一変しました。選手の方々に協力してもらって、手洗いうがいの推奨やマスクの着用など新しい生活様式を呼びかけるポスターをつくり保育園などに置いてもらいましたが、自分の憧れの選手に直接言われるのは、ただ呼びかけるより大きな効果があるのではないかと思います。そのような意味でも地域に与える影響力は計り知れないですし、もちろんその影響力が地域の活性化にもつながってほしいと考えています。」
勢いのあるプレイで魅せる新潟アルビレックスBB。選手達にまっすぐ熱い声援を送る市民。街をあげてチームを盛り上げる地元企業。そしてまちづくりを陰ながら支え、スポーツの喜びが感じられる機会を提供する長岡市。きっとどれか一つ欠けてもスポーツによるまちづくりはうまくいかなかったに違いありません。バスケットボールによるまちづくりを掲げる長岡市の子どもたちの中から、新潟アルビレックスBBで活躍する選手が現れるのも、そう遠くない未来になりそうです。
アンケートにご協力ください。
本記事を読んで、スポーツくじ(toto・BIG)の収益が、日本のスポーツに役立てられていることを理解できましたか?
スポーツくじ(toto・BIG)の取り組みに共感できましたか?