私たちの街のGROWING

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地元の魅力の再発見につながる箕輪町(みのわまち)のナイトウォーク

長野県箕輪町

 中央アルプスと南アルプスの山々に囲まれ、長野県の真ん中近くに位置する箕輪町。そんな箕輪町で2022年10月1日(土)に「みのわナイトウォーク」が開催されました。澄んだ空気の中で、天竜川の川音を聴きながら、幻想的にライトアップされた光の道や夜景を楽しむこのイベントは、地元の方から愛され今年で5回目の開催となります。「みのわナイトウォーク」が開催されるまでの道のりや、地域の魅力の再発見につながる取り組みを、箕輪町教育委員会文化スポーツ課スポーツ振興係の河西さんに伺いました。

誰もが自分のペースで楽しめるスポーツイベントを。

 都市部で行われることが多いナイトウォークですが、どのようにして箕輪町で始まったのでしょうか。河西さんはこう語ります。

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箕輪町教育委員会文化スポーツ課スポーツ振興係の河西さん

 「2017年頃に箕輪町で、ランナー向けイベントの企画が立ち上がりました。ところが調べてみると、長野県はランニングが盛んな地域のため、暑さ寒さが厳しい季節を除くとほぼ毎週何かしらのマラソンや駅伝イベントが開催されている状況でした。そこでスピードを競うランナー向けの大会ではなく、楽しみながら走る『ファンラン』のような形でイベントを開催できないかと考えたのです。こうして、夜景や星空を楽しみながらランニングやウォーキングを行う『みのわナイトラン&ウォーク』の開催に至りました」

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 2021年からはウォーキングのみとなり、より気軽に参加しやすくなりました。コースは、みのわ天竜公園を発着地とした2コース。山沿いのアップダウンの多い約8.8kmのロングコースと、ロングコースを途中で折り返す約4.2kmのショートコースが用意されています。ライトアップされた天竜川の美しい夜景や、「新日本歩く道紀行100選 ふるさとの道」に選ばれた由緒ある「東山山麓 歴史の道」を巡るなど、箕輪町の魅力をたっぷり体感できるところが特徴です。

 「暗い中を歩くことになるので、コースは安全面を第一に考え、自動車の交通量が少ない道を使用したり、幹線道路の横断が少なくなるように工夫しています。またコース全体に、環境に優しい電飾『ペットボタル』を配置し、イルミネーションを楽しめるようにしました。一番の見所は、コース上の高台から見える伊那谷の夜景ですね。見晴らしがよく驚くほどきれいなんです。コロナ禍になる前は、地元の特産品を振る舞うエイドステーションを設けていました。みんなでウォーキングをしながら、立ち止まって風景を眺めたり、地元の特産品を味わったり、久々の友人と再会したりする…。マラソンや駅伝はハードルが高いという方でも、自分のペースで楽しめるスポーツイベントにしたいと思っています」

地元の人に愛され、地元の人に支えられる。

 幅広い層が楽しめるように工夫されたイベントは、その甲斐あって多くの人が参加しています。

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 「今年は過去最多の約800人が参加しています。お子さま連れのご家族や、若い方も多いですね。コロナ禍の影響もあり、参加者の約9割が、箕輪町を含む上伊那郡内の地元の方です。豊かな自然とにぎわう市街地の両方の魅力を併せ持つ町の魅力を体感できるコースにすることで、地元の方に地元の魅力を再発見してもらう。そんな郷土愛も深められるイベントにできればと思っています」

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 日中に開催されるイベントと比べると、ナイトウォークは多くのスタッフが必要です。開催にあたっては、地域企業や地域の人の協力が欠かせません。

 「川を管理する天竜川上流河川事務所に全面的に協力していただいています。コロナ禍になる前は、ゴール地点で、地元の牛乳屋さんが牛乳を提供してくださったり、地元の農家の方が協力してくださり、旬のぶどうや梨、漬物なども振る舞い参加者に好評だったんです。
 またボランティアの方は総勢80人にものぼります。町の陸上部やスポーツ推進委員会を始めとする町内の方にご協力いただき、誘導や案内を手伝ってもらっています。ボランティアは大変だと思うのですが、こんなに多くの方が快く協力してくださるのは、それだけイベントとしての魅力を感じていただけているのかなとも思っています」

 多くの人と協力しあいイベントを成功させると、感慨もひとしおだといいます。

 「長い時間をかけて準備したイベントが成功するととても嬉しいですね。参加者がスタートゲートを楽しそうに出発している姿や、充実した顔でゴールゲートをくぐっている姿を見たときは、毎回達成感を感じます。この日を心待ちにしてくれている方も多く、やりがいを覚えています」

イベントの安全性を確かなものにするために。

 一方で、大規模なイベントを続けていくのには苦労もあるようです。

 「初めて開催した時は、目視で一人ひとりゼッケン番号を見て、参加者がチェックポイントを通過したかどうかを確認していました。その中でチェックポイントを通過されていない方が現れてとても焦りました。みんなで探し回りようやく連絡がついたところ、途中で体調を崩され、コースアウトして近くのご自宅に帰られたとのことでした。事故などの心配もしていたので安堵するとともに、安全面の重要性を強く意識した出来事でした」

 そこで、イベントの安全性を高めるために、2018年からスポーツくじの助成金を活用し始めました。

 「運営にあたり安全は大前提です。安全管理を充実させるためにスポーツくじの助成金を活用しています。具体的には、参加者のシューズにICチップをつけて、チェックポイントの通過やタイム計測を自動で行えるシステムを導入しました。さらにコース上に設置している、巨大な照明装置のレンタルにも活用しました。水路などの危険な箇所を照らすことで安全性が高められています」

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 スポーツくじの助成金は、他にも様々なところに活用されています。

 「コースを照らす電飾の『ペットボタル』の設置にも、助成金を活用しています。ペットボタルは日中に太陽光パネルで蓄積した電力を使って、暗くなるとLEDが点灯する仕組みですが、様々な光で道を彩りきれいなんです。色とりどりの光で道を照らす様子は参加者にも人気で今では名物となっています」

「みのわナイトウォーク」が描く未来。

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 年々規模が拡大している「みのわナイトウォーク」。今後はどのような展開を考えているのでしょうか。

 「夜にみんなで楽しみながら歩けるこのイベントを、町内の恒例行事のようにしていきたいですね。それに箕輪町では、町内で駅伝大会があったり、県内の市町村対抗駅伝の町の部で優勝したりとランニングやウォーキングが盛ん。歩いたり走ったりすることを楽しむ文化が町に根付いているんです。このイベントもそうしたスポーツ文化を推進する一つとして役立てていきたいですね」

 さらにイベントの魅力を、地元だけでなく町外に広めていきたいと考えています。

 「このイベントは距離やルールが決まった型にはまったものではありません。皆さんに楽しんでいただくことがゴールですので、参加者の意見を取り入れて柔軟に変えていければと思っています。コロナ禍になる前に人気だった地元のグルメを味わえるフードコーナーをいつか復活させて、地域の方が地元のおいしいお店を知るきっかけもつくっていきたいですね。現在は地元の方が、箕輪町の魅力を再発見できるイベントですが、将来的には、県外の方にも町の魅力を知ってもらう滞在型のイベントを目指していきたいと考えています。箕輪町の魅力を知るきっかけの一歩目に、このイベントがなれればと思うんです」

 気軽に楽しめるウォーキングを通じて箕輪町の知られざる魅力を体感できる「みのわナイトウォーク」。これからはその魅力が、地元住民そして町外の多くの人に広がっていくことでしょう。

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