インタビュー
インタビュー
世界に羽ばたく競技者を育てる。次世代を担うジュニア選手たちの素顔
totoの助成が、オリンピックのメダリストや世界のトップ選手を目指す子どもたちの夢を育む
2008年から始まった、世界で活躍できる選手を一貫指導体制で育成する「JOCエリートアカデミー」。全国から選抜されたジュニア選手が、東京都北区にある「味の素ナショナルトレーニングセンター」で寮生活を送りながら、一流アスリートとして必要な技術や知識の習得に日々励んでいます。今回はJOCエリートアカデミー生の中から、卓球、レスリング、フェンシングの3選手と、選手を支えるコーチの想いを紹介。
JOCエリートアカデミー生 インタビュー
練習環境と強い相手を求めて「アカデミー」へ
――競技を始めたきっかけと、「JOCエリートアカデミー」(以下アカデミー)に入ろう思った理由を教えてください。
平野: お母さんが卓球教室を開いていて、留守番が嫌でついて行くようになり、3歳には始めていました。練習環境が良かったし、強い相手もいっぱいいるので、アカデミーに入りました。
田南部: 弟が先にレスリングを始めていたのですが、それを見ているうちに楽しそうだと思い、私も小2から始めました。たくさん選手がいるところで練習して強くなりたいと思って、アカデミーを志望しました。
西藤: 父がフェンシングクラブを作って、コーチをしていました。姉が習っているのを見ているうちに興味をもち、5歳の頃には剣を握りました。中学の部活で練習していたのですが、さらに練習の質を上げたいと考えて、中学2年からアカデミーに入りました。
――アカデミーに入って刺激を受けたことや良かった点は?
平野: 隣で日本代表選手たちが練習しているのを見ているだけでもプラスになります。世界を意識した練習ができていると感じます。
田南部: 自分より体の大きな選手と練習できますし、日本のトップ選手が身近にいることで、勉強になることが多いです。アカデミー出身で、全日本でも優勝した宮原優選手(東洋大)には、時々相手をしてもらっています。
西藤: フェンシングでは五輪メダリストの太田雄貴選手などの日本代表選手や、同年代のトップ選手たちと一緒に練習できます。練習の質、施設も含めて日本一の環境で、日本一の練習ができると感じています。
――アカデミーに入ってから、成長したところは?
平野: 1月の全日本ジュニアでは2位になれてうれしかったです。海外遠征に行かせてもらって、ジュニアの世界ランキングも上がり、少しずつ強くなっていると思います。世界で勝てるようにもっとパワーをつけたいです。
田南部: 35kgだった体重が42kgくらいまで増えて、筋力がついて体が大きくなってきました。父に「誰にでもかかる技が得意技だ」と言われているので、今後、そういう技を身につけられるようになりたいです。
西藤: 2013年は日本代表として団体戦に出場できました。もともと攻撃は好きだったのですが、それだけでは世界に通用しません。アカデミーに入ってから、ディフェンスや駆け引きを磨くことができて、自分のフェンシングに広がりが出てきました。
寮生活で、競技と勉強を両立しながら、心技体を磨く
――中学生で親元を離れての寮生活ですが、不安や寂しさはありますか?
平野: アカデミーでの生活はすごく楽しいです! 卓球だけで4人部屋に住んでいるのですが、先輩は相談にも乗ってくれますし、寂しさは感じません。
田南部: 父がナショナルチームのコーチをしているのでたまに会うことができます。寮では同期と先輩と3人で生活していますが、ホームシックにはならないです。
西藤: 最初、少しだけホームシックになりましたね。ですが、先輩もいましたし、練習が楽しすぎて、初めて帰省したときは、早く寮に戻りたいと思ったくらいでした。
――アカデミー生は、競技以外にも週1回の英会話や言語教育、栄養学などを多角的に学んでいます。
平野: 小学生の時よりも、バランス良く食事を取るようなりました。野菜をたくさん食べたり、甘い物を控えたりと食べる物に対しての意識も変わりました。また、アカデミーで英語を習っていたおかげで、少しですが、海外の選手と話せてうれしかったです。
田南部: 食べる量が増えました。中学生はプロテインを飲んではいけないなど、栄養の知識も増えました。栄養士さんが管理をしてくれて、今の自分に合ったメニューを用意してくれたりもします。英語は、今度海外遠征に行ったときに、ぜひ話してみたいと思っています。
西藤: 栄養士の方々にアドバイスをいただき、食事を変えたことでコンディションが良くなったと感じています。普段から、体重の変化に合わせて1日の摂取量を計算してもらっています。また英語も海外合宿の時に、少し話すことができました。フェンシングは試合のときの言葉がフランス語なので、フランス語も何回か習っています。
――朝6時に起きて練習をしてから学校に行き、放課後は午後3時くらいから8時くらいまで練習しています。競技と勉強の両立は大変では?
平野: 学校生活にはすぐなじめました。体育の成績はまずまずですが、歴史や数学は苦手です。遠征などで学校に行けなかったときは、授業に追いつけるように、アカデミーで勉強会(補習)を開いてもらっています。
田南部: 両立は大変ですが頑張っています。体育と社会が好きで、数学と英語は苦手です。夜、宿題が終わらないときには、休み時間にやったりしています。放課後にときどき出稽古に行くので、出発時間に間に合わないときには、同級生に掃除を代わってもらうなど、助けてもらっていることもあります。
西藤: 立て続けに遠征があると大変です。学校の先生方に相談してプリントをもらったりしています。体育はもちろん、数学も好きです。夜の8時から2時間ほどアカデミーで補習を受けることもあります。
さまざまな支援に恩返しをするためにも、世界の頂点に立ちたい!
――2020年に東京で夏季オリンピックが開催されることが決まりました。
平野: 私が20歳になる時に東京でオリンピックが開催されることになってビックリしました。チャンスがあると思うので頑張りたいし、東京開催ですから、なおさら出場したいです。
田南部: 東京五輪が決まった日には、レスリングがオリンピックの正式種目として認められるかどうかがはっきりしていなかったので、不安がありました。翌日、正式種目として存続が決まり、今では大きな目標になっています。
西藤: 東京五輪は23歳で迎えます。東京に夢の舞台が来ることが決まった瞬間は言葉で表せないほどうれしくて、自然に立ち上がって、先輩たちと抱き合っていました!
――totoをはじめ、さまざまな支援を受けていることに対してはどう思いますか?
平野: 海外遠征に行ったり、海外からコーチが来てくれたりと良い環境で練習ができますし、すごくありがたいです。世界選手権やオリンピックなどの大きな大会に出ることが、応援してくれている人たちへの恩返しになると思います。
田南部: 学校の友達にも応援してもらっていますし、コーチはもちろんのこと、ランドリーや掃除、ベッドメイキング、食事を作ってくれる方など、毎日たくさんの人たちに支えられていることを実感しています。そういった人たちの声援に応えるためにも、もっと強くなりたいです。
西藤: 感謝の言葉しか出てきません。コーチや親、一緒に練習していただいている先輩も含めて、支えてくれる皆さんのおかげで世界と戦うことができていると思います。
――将来の目標は?
平野: オリンピックで金メダルを獲得することです。先輩たちがロンドン五輪の団体で銀メダルを獲得したので、日本は勝てると感じましたし、自分もメダルを獲りたいと思いました。
田南部: 東京五輪で金メダルです!
西藤: 選手としての目標はオリンピックでの金メダルです。日本代表の先輩方に「東京でメダルを獲りたいならリオデジャネイロ五輪でも代表に食い込まないと」とアドバイスを受けてからは、2年後を視野に入れるようになりました。
――それぞれの競技のファン、多くのスポーツファンに向けてメッセージをお願いします。
平野: 福原愛さんのおかげで卓球の世界が盛り上がって、小学生の頃、「愛ちゃん2世」と言われてうれしかった! 私も福原さんみたいに卓球界を引っ張っていけるような選手になれればと思います。
田南部: オリンピック3連覇の伊調馨選手のように、力技もうまくできる、みんなに憧れられるような強い選手になりたいです!
西藤: 小学校3年生のときに太田雄貴選手とイベントで試合して、オリンピックという目標が持てました。僕が太田選手に感じたように、僕の試合を見て、「フェンシングって格好良いな」とか「スポーツっていいな」と思ってもらえるような、子どもたちに夢を与えられる選手になりたいですね。
平野 美宇ひらの みう
2000年4月14日生まれ。
2013年4月にJOCエリートアカデミーに入校。
2014年1月 天皇杯・皇后杯 全日本卓球選手権大会・ジュニア女子で準優勝。
2014年3月 「ジャパントップ12」で準優勝。
田南部 夢叶たなべ ゆめか
1999年7月14日生まれ。
2012年4月にJOCエリートアカデミーに入校。
2013年6月 全国女子中学生大会37kg級優勝。
父はアテネ五輪男子フリー55キロ級銅メダリストの田南部力氏。
西藤 俊哉さいとう としや
1997年5月29日生まれ。
2011年4月にJOCエリートアカデミーに入校。
2013年4月 世界ジュニア・カデ選手権大会、カデ男子フルーレで銅メダルを獲得。
2013年8月 世界選手権で日本代表(フルーレ)に選出。
コーチインタビュー
卓球 - 「オリンピックで金メダル」という夢をかなえてもらえるように
三原孝博・・・JOCエリートアカデミーコーチ
アカデミーでは全国から優秀な選手を集め、国際的な競争力をつけるために育成しています。学業との両立はもちろん、英語や言語教育を積極的に取り入れ、競技力だけではない、一流選手に必要な素養を身につけることを視野に入れているのが特徴です。
育成するなかで、中学生と高校生だけのチームで日本リーグに参戦し、日本のトップの選手と対戦することで現在の力を知り、また海外遠征に出ることで世界と対等に戦える力をつけてきたという実感があります。平野はもともとスキルの高い選手でしたが、アカデミーに入ってパワーをつけてきたことで結果が出始めていると感じています。
さまざまな方々の支援で有望な選手が育っているなか、コーチとしては多感な時期の選手たちがストレスをためないように、子どもたちの目線に合わせることを心がけています。そして、選手たちが目標としている「オリンピックで金メダル」という夢をかなえられるようにサポートしていきたいと考えています。
レスリング - アカデミーの選手たちを見て、他の選手も刺激を受ける
菅芳松・・・日本レスリング協会理事/JOCエリートアカデミー監督
吉村祥子・・・JOCエリートアカデミーコーチ
菅: 私は主にスカウトを担当しています。田南部は、小学6年の時に当時のライバルに負けて自分から「アカデミーで頑張りたい」と志願してきました。レスリングで強くなるには良い練習相手に恵まれることが必要で、また、勝つための要素の7~8割を体力が占める競技です。したがって中学生の時から高校生と練習を重ねることは大きな意味を持ちます。アカデミーは2014年4月から7期目に入ります。2013年の全日本選手権女子51kg級決勝をアカデミー出身者とアカデミー生が争うなど、長年の成果が出てきたと感じています。
吉村: 1期生からコーチをしてきて、順調に実績を残せています。もともとモチベーションの高い選手が入ってきますが、さまざまな支援や、ジュニア期ならではの医学的サポートなどがあり、足踏みせずに成長していけるのが、その要因と感じています。田南部はもともと負けず嫌いですし、努力家なので入ってきた時より心技体とも向上していますので、このまま順調に育ってほしいと思います。アカデミーの選手たちが頑張ることで、他の選手も刺激を受け、レスリング界全体が活性化してきています。
フェンシング - 練習環境と専門家が一体となったサポートに感謝
青木雄介・・・JOCエリートアカデミーコーチ
アカデミー生は日本代表と同じ場所で練習し、やろうと思えば365日フェンシングに打ち込める、夢を追いかける子どもたちにとってはこの上ない環境です。フェンシングは3種目あり、男子がロンドンオリンピック団体で銀メダルを獲得したフルーレ、そしてエペ、サーブルです。それぞれの選手の適性を見ながら、一つの種目に特化して取り組んでいます。また、さまざまな専門スタッフ、メンタルトレーナーやフィジカルトレーナー、管理栄養士が一体となってサポートしており、フィードバックをもらえるのは、たいへんありがたいことです。
西藤はもともと強い選手だったわけではありません。練習を積み重ねたことで結果が出始めています。2013年は日本代表選手として団体戦にも出場しました。他の選手も国際大会でベスト8以上に入るなど、それぞれ成果が出ています。選手には結果が求められがちですが、エンジョイしつつ、切磋琢磨し、最終的に国を代表するような選手に成長して欲しいと思います。私も日本のフェンシングがずっと強いチームであり続けるために、尽くしていく考えです。
(2014年2月 味の素ナショナルトレーニングセンターにて)
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