インタビュー

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ユメミルノート vol.2|なでしこジャパン谷川萌々子が見据える世界一の夢

女子サッカー 谷川萌々子選手

 闘い抜くアスリートたちはこれまでにどんな夢を掲げ、叶えてきたのでしょう? そして、その夢のためにどのような努力をし、失敗や苦労を乗り越え、どんな人やものに支えられてきたのでしょうか。

 そんなアスリートの夢を紐解く連載「ユメミルノート by スポーツくじ」。第2回は、サッカー女子日本代表の谷川萌々子選手が登場。3歳からサッカーを始め、中高時代はJFAアカデミー福島でサッカー漬けの日々、そしてプロ2年目を迎える谷川選手が幼少期からずっと抱いている夢、これからの目標やスポーツくじの助成金についても語ってくれました。

谷川萌々子選手を育んだJFAアカデミー福島の特集記事は近日公開予定

谷川選手が記入したユメミルノート int_166_2

高校卒業後の欧州挑戦1年目で得点王、チームを優勝に導く

 JFAアカデミー福島卒業後、FCバイエルン・ミュンヘンと契約し、プロ1年目はスウェーデンのFCローゼンゴードにレンタル移籍というかたちで過ごした谷川選手。ミッドフィルダー(MF)というポジションながらゴールを量産し得点王の大活躍、そしてチームを優勝に導いたこの1年を「とても充実していました。チームメイトやコーチ、たくさんの方々があたたかく迎えてくれたので、スムーズに新しい環境に慣れることができて、楽しい時間を過ごせました」と振り返ります。

int_166_3 2025年はレンタル移籍から復帰し、FCバイエルン・ミュンヘンでプレーする [写真]=FC Bayern

 取材を実施した2024年12月は久々のオフ。実家のある名古屋で「おいしいものを食べにいったり、温泉に行ったり、愛犬2匹の散歩をしたり、ゆったり過ごしています」と語る反面、2025年に控えたドイツでの新生活に向け、自動車の運転免許を取得するために教習所に通い詰めるなど、休養しながらも来シーズンの新たなチャレンジに向けて準備しています。

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なでしこジャパンで優勝することが幼少期からの夢

 そんな谷川選手が初めてサッカーに触れたのは3歳の頃。通っていた名古屋市の徳重幼稚園の園庭で行われた東海スポーツのサッカースクールで初めてプレーし、小学生の頃はグランパスみよしFCで活躍。中高時代はJFAアカデミー福島でサッカー中心の生活を送り、2024年にプロとしてのキャリアをスタートさせました。

「小さい頃からなでしこジャパンに入って、ワールドカップやオリンピックで優勝することが夢でした。私が6歳の時(2011年)になでしこジャパンがワールドカップで優勝した姿を見て、私もこういう選手になりたいと強く思いはじめました。幼い頃からこの夢を持ってやってきていたので、初めてなでしこジャパンに選出された時は嬉しくてたまりませんでした」

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int_166_6 幼稚園時代の谷川選手(右から4番目)と東海スポーツ・松葉コーチ(谷川選手の後ろ) [写真]=本人提供 / 画像は一部加工しています

 年中でサッカーと出会った谷川選手は他のチームと掛け持ちしながら小学5年生まで東海スポーツのスクールを続けます。そのときに指導した彼女の最初のコーチが松葉義夫さん。今でも谷川選手の活躍を見ては連絡をくれるそうです。谷川選手は松葉コーチのことを「優しいコーチでした」と振り返りつつ、当時の思い出をこう語ります。

「幼稚園の頃は松葉コーチからたくさんアシストをもらって、ゴールを決めていました。初めてゴールを決めた時の嬉しさは当時のいちばんの思い出。松葉コーチのおかげでゴールの喜びをたくさん味わえました」

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世界には自分にない才能を持った選手がいるという気づきと悔しさ

 幼少期からずっと変わらずに楽しくサッカーをしているという谷川選手ですが、時には辛かったことも。特にお父さんと一緒に練習をしたことが印象的だといいます。

int_166_8 旅先での家族写真(左から2番目がお父さん、左から3番目が谷川選手) [写真]=本人提供

「小学生の頃はお父さんと一緒に公園でよく練習をしていたんです。トラップやパス、いろんな基礎技術を練習しました。当時はきついなと思っていましたが、お父さんとの練習があったからこそ今の自分があると思うので、お父さんには本当に感謝していますし、その時頑張った自分を褒めてあげたいです」

int_166_9 小学校時代の谷川選手 [写真]=本人提供

 その後、中高時代は親元を離れ、日本サッカー協会(JFA)が運営するサッカー選手の教育機関・JFAアカデミー福島に入校。サッカー漬けの毎日を送るなか、2022年にはU-17サッカー日本女子代表に選出され、FIFA U-17女子ワールドカップにも出場しました。この大会がこれまでのサッカー人生でのターニングポイントになっているといいます。

「私がサッカーをしていていちばん悔しいと思った大会がこのU-17女子ワールドカップなんです。スペインにアディショナルタイムで逆転されて、ベスト8で負けてしまいました。JFAアカデミー福島の先輩たちが世界大会で活躍している姿を見て、私もこういった大会で優勝したいという気持ちが強くあったなかで挑んだ試合。優勝することしか考えていなかったので本当に悔しさが募ってしまったんです」

 負けた悔しさと同時に、「世界には自分にはない才能を持った選手たちがたくさんいるんだ」と悟り、一つひとつの動きの質やフィジカル面をもっと磨かないといけないと肌で感じたといいます。

「大会直後は落ち込んでしまってなかなか立ち直れなくて。そんな時に当時指導してくれていた山口(隆文)監督が『落ち込んでいても意味はない、やるしかないよ』というような言葉をかけてくれてエンジンがかかりました。私の長所であるシュートやロングキックを伸ばすとともに、しっかり守備に戻るところは戻るということを意識的に強化していきました」

int_166_10 JFAアカデミー福島の山口隆文監督との2ショット [写真]=本人提供
JFAアカデミー福島
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 日本サッカー協会(JFA)が、福島県、広野町、楢葉町、富岡町と連携して2006年に設立したサッカー選手のエリート教育機関。東日本大震災の影響で2011年から静岡県御殿場市へ一時移転しましたが、順次福島での活動を再開し、2024年に全面的に福島に戻りました。

「常に(どんなときでも、日本でも海外でも)ポジティブな態度で何事にも臨み、自信に満ち溢れた立ち居振る舞いのできる人間の育成」を目的としており、男子は中学3年間、女子は中学高校の6年間にわたってJヴィレッジ近郊の寮で生活を送ります。

 運営にはスポーツくじの助成金が活用されており、サッカーはもちろん、社会をリードしていける真の世界基準の人材育成を目指し指導が行われています。また、女子では谷川萌々子選手だけでなく古賀塔子選手や北川ひかる選手、守屋都弥選手など多くの日本代表選手を輩出しています。

int_166_12 JFAアカデミー福島で仲間たちと切磋琢磨した(前列右端#32が谷川選手) [写真]=JFA
int_166_13 JFAアカデミー福島で共に過ごし、世界に羽ばたいていった仲間たちとの再会(左→右:9期生 岩井蘭選手、12期生 松窪真心選手、13期生 谷川萌々子選手、9期生 門脇真依選手) [写真]=本人提供

幼少期からの夢を一つ実現…なでしこジャパンでオリンピックに出場

 そして幼少期から掲げていた「なでしこジャパンに入って、ワールドカップやオリンピックで優勝すること」の夢が一つ叶う瞬間が訪れます。2024年、パリオリンピックに出場するなでしこジャパンのメンバーに選出されたのです。グループステージのブラジル戦でオリンピック初出場を果たし、後半のアディショナルタイムにはA代表初ゴールとなる劇的なロングシュートを決め、なでしこジャパンを逆転勝利へと導きました。

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int_166_15 念願のパリオリンピック出場、ブラジル戦で劇的決勝弾…幼少期からの夢が叶った瞬間 [写真]= Alex Grimm – FIFA via Getty Images

「小さい頃からの夢だったオリンピックに出場できたことが、これまでに叶えたいちばん大きな夢です。ブラジル戦であのゴールを決められた時は本当に嬉しくて。両親が観戦に来てくれていたので、ゴールを決めたあとは両親のほうに自然と走っていっていました」

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 家族が支えてくれたからこそ夢を叶えられたという気持ちが強いという谷川選手。幼少期から毎日のように練習に送り迎えをしてくれたこと、姉2人と妹の存在がとても大きかったといいます。そして、JFAアカデミー福島という環境も、谷川選手の夢を叶えるための鍵になっています。

「いい指導者のもと、いい環境でサッカーができたのも家族の支えがあったからこそ。JFAアカデミー福島はコーチや選手のレベルがすごく高く、個人としてレベルアップするためにも非常にいい環境だったと思いますし、夢を忘れずに生活できました。

 学校が終わったらすぐ寮に戻って練習して、体をケアする環境が整えられていたり、栄養のあるごはんが用意されていたり、サッカー選手に必要なものがすべて集まっていました。JFAアカデミー福島もスポーツくじの助成金でサポートいただいていて、移動用のバスにもロゴが大きく貼ってあるんです。たくさんの支援をいただいたなかでサッカーに集中して取り組めたので感謝しています」

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両親にメダルをかけたい…小さい女の子たちにも夢を与えたい

 なでしこジャパンに入るという夢が叶った谷川選手。これから叶えたい夢は「世界一になること。そして、そのメダルを支えてくれた両親にかけること」だと語ります。

「今は小さい頃と比べて、世界一になることが現実的な目標になってきました。サッカーを始めた3歳の時からいろいろなサポートをしてくれた両親に、感謝の気持ちを込めてメダルをかけてあげることで恩返しをしたいです。そして、私が幼い頃になでしこジャパンが世界一になった姿を見て、より頑張ろう、と思えたように、小さい女の子たちにも自分が夢を叶えた姿を見せられたらなって思います」

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 そのためには「すぐに結果がついてこないとしても目標を諦めず、結果がついてくるまで自分を信じ続けることが大切」だという谷川選手。世界から熱い視線が送られる彼女の今後に期待しながら、「世界一になる」という夢を叶えていく姿を見守っていきます。

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(取材:2024年12月)

谷川萌々子選手を育んだJFAアカデミー福島の特集記事は近日公開予定

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谷川 萌々子たにかわ ももこ

2005年5月7日生まれ、愛知県出身。3歳の時にサッカーを始める。ポジションはミッドフィルダー。小学校時代は名古屋FCレディース、グランパスみよしでプレー。2018年度、JFAアカデミー福島女子のセレクションに合格し、中学進学と同時に入校。2022年FIFA U-17女子ワールドカップに日本代表として出場。2023年には高校生ながらなでしこジャパン(日本女子代表)に初招集される。2024年、FCバイエルン・ミュンヘンに加入した上で、スウェーデンのFCローゼンゴードに期限付き移籍し得点王の活躍。さらにこの年、パリオリンピック出場を果たす。2025年シーズンはバイエルンでプレー。

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