インタビュー

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偉業を後押しした心の支え 金メダリストが感謝する応援のチカラ

スピードスケート 髙木美帆選手

踏ん張りどころで原動力になる「人との関わりあいで生まれた感情」

 2月に開催された北京オリンピックで4個のメダルを獲得したスピードスケート・髙木美帆選手。全身全霊を懸けて勝負した大舞台の後、残された力を振り絞りながらワールドカップ2大会を戦い、現在は少し長めの充電期間を過ごしている。

 この期間を使って、選手生活を応援してくれる人々の元へ御礼の挨拶に出掛けることも。普段は自身のパフォーマンスをほとんど振り返ることはないというが、「メダルをお見せする機会がある時は喜んでいただけるので、そういう時間に改めてオリンピックで得た結果を実感することが多いですね」と話す。

 スケートを始めたのは5歳の時。それ以来、20年超の長きにわたり競技を続けてこられたのは、様々な形でのサポートを受けてきたからだ。髙木選手は「スピードスケートは海外遠征や道具にお金が掛かるので、金銭面や物品でのサポートに助けられているところは大きいですね」と感謝すると同時に、人と人との関わりあいの中から生まれる心のサポートが持つ大切さも噛みしめる。

「自分の中で頑張ろうと思ったり、しんどい時に歯を食いしばって乗り越えるぞと踏ん張ったりする時、その原動力になるのは、人との関わりあいで生まれた感情が大きいと思います。例えば、北京オリンピックではずっとお世話になっていた方が直前に現場から離れたり、北京を区切りにしていたりといったことが多くありました。そういう方々との出会い、別れ、北京まで来られなかった方々の想いといったものを想像すると『まだ頑張れる』という気持ちになれた。そう思える出会いが多くあったことに感謝しましたし、支えてもらう力の大きさを感じました」

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 北京オリンピックでは、別の形でもサポートの力を感じる場面があったという。銀メダルに輝いた1500メートルのレースでのこと。この種目の世界記録保持者でもあり、前哨戦のワールドカップでは3戦3勝と好調だった髙木選手には、金メダルの期待が高まった。だが、結果は4年前の平昌と同じ2位。優勝のイレイン・ブスト(オランダ)にわずか0秒44届かなかった。

「レースを見てくださった皆さんの多くは、(レース後の)私が苦しそうだったと表現されていましたが、私の目にはそういう皆さんも同じくらい苦しそうに映っていたんです。代表チームの後輩たちが『美帆さん、もう……』って声を掛けてくる顔が苦しそうで苦しそうで(笑)。私を見て、(思いを巡らせて)苦しくなってしまったんでしょうね。レース後に気持ちが落ち着いた時、残りの3種目は私も苦しい想いはしたくないけど、見ている人たちにもさせたくないなと思いました」

 応援の気持ちが大きいあまり、応援している選手と同じ状況にいるかのように感情移入してしまう。そんな不思議な経験を通じ、「改めて、オリンピックは(人と人とが)共感できる場所、想いを共有できる場所なんだなと感じました」と話す。

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