インタビュー

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成長を支えた“書く力” 日記と陸上ノートで向き合った自分との日々(2/2)

陸上 田中希実選手

日記に書くことで整理された周囲の支え

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 日記は自分中心だが、自分から見た周囲の人も登場する。トップ選手になれば、サポートがより手厚い。書いているうちに「みんなよくこんなにやってくれるな」と気付かされた。感謝の念が湧き出る一方、自らを戒める想いも湧いてくる。

「みんなが裏で動いてくれていても、『自分のことしか考えられていない』と書いている。それ(支え)に応えられない自分に対しての怒りがあります。アスリートファーストが大事な部分もあれば、それがワガママなのではないかと分からなくなることもある。今は結果が出ているからこそ支えてもらえますが、アスリート全員がこんなによくしてもらえるわけではないですよね」

 葛藤もあるが、感謝に嘘偽りはない。広く日本のスポーツを支えるスポーツくじの仕組みに対しても、同様の想いがある。スポーツくじによる助成金は若手選手の育成や陸上競技場などスポーツ施設の整備、各地で開催されているマラソン大会の開催などにも幅広く活用されてきた。日々、充実した環境で練習する田中選手。支援がなければスポーツを楽しめず、結果を残せないわけでは決してない。それでも、現役アスリートとして支援の重みを理解し、感謝している。

「その支えがなくなった時に、スポーツへの充実感が減ってしまうこともあるんじゃないか。自分は助成金という形で直接支援をしていただき、かなり恩恵を受けています。だからこそ、スポーツくじのサイクル(スポーツくじ4つの輪・下記参照)をうまく回せるよう、何かできることはないかなと思っています」

 昨年の東京オリンピックでは、1500メートルで日本人初の8位入賞を果たした。影響力が増すことで次世代のためにできることも生まれる。「これは最近思い始めたことなんですけど」と語り、打ち明けた。

「動画サイトなどの発展もあって、子どもたちが陸上に興味を持ってくれるのはすごく嬉しいです。全員と出会うことは難しくても、一緒に走るとか、次世代に向けて取り組んでいる姿勢を見せていくのは大事。競技をやっていない子どもでも、アニメ感覚でエンターテインメントとして私が走る動画を楽しんでもらいたい。子どもたちと一緒に楽しめるような大会の規模を、もっと大きくしていけたらと思います」

 日記を書くことで改めて感じる支えの大きさ。走ることを通じ、未来に向けてそのサイクルを駆け足で回していく。

(リモートでの取材を実施)

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田中 希実たなか のぞみ

1999年9月4日、兵庫県生まれ。豊田自動織機所属。実業団選手だった父、市民ランナーの母に影響を受け、幼い頃から走ることが身近にある環境で育った。中学生から本格的に陸上競技種目を開始。高校は陸上強豪校に進み、U20世界陸上競技選手権大会では3000メートルで優勝。大学進学後は、クラブチームに所属し父の指導を受けながら大会に出場。U20世界陸上競技選手権大会では3000メートルで優勝した。2020年7月に非五輪種目の3000メートルで18年ぶりの日本記録、同8月にも1500メートルで14年ぶりに日本記録を塗り替えた。東京オリンピックは1500メートルで日本人初の8位入賞を果たした。日本陸上競技選手権大会では2020年から1500メートルで3連覇し、2022年は1500メートルと5000メートルの2冠を達成。現在は1000メートルの2分37秒33、1500メートルの3分59秒19、3000メートルの8分40秒84でいずれも日本記録を保持している。

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