インタビュー

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インタビュー

小学生から夢を語った理由 奥深い世界で得た「探究心と諦めない心」(2/3)

陸上 飯塚翔太選手(ミズノ)

スポーツで学んだのは「探究心と諦めない気持ち」

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 ロンドンオリンピックの後、モチベーションの作り方に影響を与える出来事があった。イベントでトークショーに参加。終了後、車椅子に座った80代くらいの女性に話しかけられた。「走りを見て寿命が延びました。もっと長生きして頑張りたい」。長い競技生活、気が乗らない日もある。「でも、この言葉を聞いた瞬間に変わりました。誰かに影響を与えられて、やってよかったと思えたんです」と前を向かせてもらった。

 一生懸命にやった結果、想いに応えることができた飯塚選手。夢を持つ大切さに加え、「夢の作り方」も教えてくれた。

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「達成した瞬間に自分だけが喜んでいる姿を想像するより、自分と誰かを巻き込んで喜んでいるような目標を立てる。例えば自己ベストよりも、自己ベストを出してリレーで勝って先生を胴上げしたいなど。力が入るものを想像すると、より頑張れると思います。夢の参加者を増やす。高校生などにはよく話します。自分はオリンピックがあったからこそ、目標を見失わずに頑張り続けられた。学びや出会いもあり、人生そのものを変えてもらいました」

 スポーツを通じて「探究心と諦めない気持ち」を学んだ。走るというシンプルな種目だからこそ、繊細で奥が深い。「足の指に切り傷があるだけでも安定しない」。1歩の幅が1センチずれるだけで、100メートル先ではコンマ何秒のタイムに大きく影響する。人の身体は千差万別。年齢によって変化もする。自分に合ったフォーム、練習方法を探し続けなければならない。

「陸上って正解がないんですよ。出口のないトンネルをずっと走っているような感じ。失敗して、うまくいって、ずーっと模索する。昔やっていたことを頭に残しておかないといけない。それを日々の練習で引っ張り出す。ひたすらその作業です。培ったのは考えてやり続けること。それは陸上以外の分野でもすごく役立っています」

 答えを探し続ける旅は今もなお続いている。飯塚選手は「陸上競技場は僕の遊び場」と表現し、練習で走りを研鑽。フォームを微調整しながら、身体に刷り込んできた。「ずーっと好きです。競技場に行くのも大好き。スターティングブロックもおもちゃみたいだと思って練習します」。どうすれば速く走れるのかという探求心で競技と向き合ってきた。

 スポーツを生きがいにする飯塚選手。コロナ禍で社会は大きく変化した。そんな中でスポーツが果たせる役割は、人に刺激を与えることだと考えている。「コロナ禍で難しい面もありますが、スポーツが否定されたわけではない。観に来てくれる人たちに全力でお応えしたい。目標に向かって頑張っている姿を見て頑張るという人がいれば嬉しい」と語る。

 コロナ禍でスポーツを取り巻く状況にも変化があったが、スポーツ界を支えているものの一つが、スポーツくじ(toto・BIG)の収益による助成金だ。陸上競技では、日本陸上競技連盟によるアンダー世代の強化合宿や、地域で行われる陸上教室の開催、地域にある陸上競技場の整備など、スポーツの普及・発展のために活用されている。飯塚選手はその意義についてこう語る。

◆スポーツの未来を育てる、スポーツくじの仕組みをアニメーションで紹介!

「(助成金の活用がなければ)アスリートは練習場所、合宿、試合でなかなか思うように活動できないことがたくさんあります。若手選手の発掘や育成でも、ものすごく大きな影響がある。アスリートだけでなく、子どもやお年寄りもみんなが動けるような場所を作ることが健康に繋がるので、すごく大きなことだと思います」

◆次ページ:アフリカで陸上教室、根底にある想いとは

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