インタビュー

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インタビュー

家族がくれる力と安らぎ 結婚・出産を経たハードラーの走り続ける姿

陸上 寺田明日香選手

寺田明日香選手が娘に届けたい「夢に向かう姿」

 家族の存在を力にして戦っている。陸上女子100メートルハードルの寺田明日香選手。高校卒業後の2008年から日本陸上競技選手権大会を3連覇したのち、怪我や摂食障害などの影響で23歳の時に一度引退した。2014年に結婚・出産を経て、大学で児童福祉を学びながら企業勤務も経験。出産から2年を過ぎた頃にオファーを受け、7人制ラグビーに挑戦した。

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 7人制ラグビーはリオデジャネイロオリンピックから正式種目として採用されていたが、競技人口の少ない日本では他競技からの転向を強化策の一つとした。そこで、陸上競技で培った抜群のスプリント力が活きるのでは、と寺田選手に白羽の矢が立った。ラグビーでは大きな怪我もあったが、陸上競技への情熱が再び宿り、2018年末から陸上競技に復帰。2021年の6月までに日本記録を3度更新してみせた。

 紆余曲折の末に今がある。チャレンジ精神の支えは、8月に7歳となる娘の存在だ。

「原動力は娘ですね。どんな状況でも応援してくれる存在がいるのは凄く心強いと思います」

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 子どもにとっては、家の中にアスリートがいる状況。目標に向かってスケジュールを立て、トレーニングや食事管理など日々努力する母親の姿が日常の一部になっている。もちろん、大会にも駆け付けて応援する。4月末に行われた織田幹雄記念国際陸上競技大会で日本記録を更新した時は、12秒96のタイムが表示された電光掲示板の横で一緒に記念撮影に臨んだ。31歳で自己ベストを出した寺田選手。娘には自身の「夢に向かう姿」を覚えておいてほしいという。

「まだ小学1年生ですが、娘に母親の頑張っている姿を見せることで、将来的に『ママ、あの時頑張ってたな』『自分の夢に向かってやっていくってこういうことなんだな』と少しでも思ってもらいたいです。彼女がやりたいことを見つけて目標設定をできるようになった時、どうやったら到達できるのか、具体的な過程を考えられるようになってほしいですね」

 大きな目標のために、小さな目標を作る。それを達成するにはどんな生活を送るべきなのか。自身の後ろ姿や言葉を記憶の片隅に置いてほしい。「挫けた時には(私に)聞いてもらえれば」と寄り添う。最近、フィギュアスケート、水泳、英語などに興味を持ち始めた娘に対しては「成功」すること以上に「好きなことを見つけてほしい。その中で出会う人たちがいる。何事も取り組む過程を大事にして、好きなことを通じた経験から、一つ一つ吸収してもらえれば」と願っている。

◆次ページ:出産したアスリートの競技復帰に必要な“社会の意識変化”

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