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トップから健康維持まで ロンドン銀メダリストが伝える卓球の奥深さ(2/3)

シビアさが際立つ競技性と、楽しさが全てのレクリエーション性が同居

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 ボールを拾いに行ったり汗を拭いたりする間も、頭の中はフル回転。対戦相手の仕草に視線を送りながら変化を読み取り、戦術を立て直す。「打ち合いに隠されたメンタル的な要素が見えてくると、卓球台に近く立つのか、遠く立つのか、立ち位置一つ取っても攻めの気持ちから生まれたものか、相手に気圧された結果なのかが分かると思うので、すごく面白いと思います」。

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 卓球に限らずアスリートは皆、「結果が全て」の世界に生きている。「いくら努力しても結果が伴わなければダメなんです。24時間寝ずに練習しても負けたら負け。すごくシビアな世界だと思います」。だが、そのシビアな世界で卓球と真剣に向き合い、「試合でも練習でも絶対に諦めなかった」という姿勢で努力を積み重ねて銀メダルを獲得したからこそ、引退後の今、「努力や時間を費やさなければ自分が望んだものは手に入らない」と覚悟を決めて新たな挑戦に取り組めている。

 シビアさが際立つ競技的側面を持つ一方で、「ラリーを通じてコミュニケーションを楽しめる」のがレクリエーションとしての卓球だ。

「相手に勝つことを目的とするトップ選手は、相手が打ちにくいコースに打ったり、相手が返しにくい回転やスピードで打ったりすることを考えます。でも、卓球を楽しむ時に大切なのは、相手が返しやすいボールを打って、いかに長くラリーを続けるかがポイント。初心者の方は、まずはボールを相手のコートに返すこと。コントロールできる感覚をつかめると本当に楽しく感じると思います」

 卓球教室に参加する時は、ラリーが続く感覚を体験してもらうようにするという。

「力を入れてラケットを振らなくても、相手から飛んでくるボールの力や回転を利用できれば、ラケットにボールを当てるだけでも相手のコートに入るんです。タイミングの合わせ方やラケットの角度など、ちょっとしたアドバイスを送ります。お子さんの場合、一緒にラケットを握ってボールを打ち返すと、すぐに感覚をつかめる。楽しいな、もっとやりたいな、と感じてもらうことを大切にしています」

 広いスペースがなくても2人いれば気軽に楽しめる卓球は、適度に身体を動かしたいというシニア層に特に人気で、「私の義父も半年くらい前から卓球クラブに通い始めて、とても楽しそうにやっています」と平野さん。「接触がなくて安全ですし、頭と身体を使いながらラリーでコミュニケーションを図れる生涯スポーツ。身体を動かすと気持ちまで明るくなってきますよね」と笑顔を浮かべる。

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