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競技の発展を願い…新体操の伝道師が次世代に伝えるロシアでの学び(2/3)

ロシア国立ボリショイ・バレエや羽生結弦選手から得る美しさのヒント

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 新体操は難度点と実施点の合計で採点される。技の難度、ダンス要素、ダイナミック要素などが加点方式で評価される難度点に対し、実施点は最高10点の持ち点から演技面・技術面でのミスを減点方式で評価。不要な減点を避けるため、ホロドコバ・コーチには「手具にも感情がある。試合で最後まで一緒に戦ってくれるように常に大切に扱いなさい」と教えられた。

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 2017年に採点規則が改正され、リオデジャネイロオリンピックの時よりも難易度の高い技を多く演技に組み込む必要性が生まれた。当初は増えた技を意識しすぎ、演技に繊細さを欠くこともあったが、コーチと目指す方向性を再確認。「新体操が持つ美しさを表現する演技」に立ち返った。

 美しさのヒントは、他ジャンルからも得ている。ロシアでは国立ボリショイ・バレエを観劇し、トップバレリーナたちのダイナミックかつ華麗な踊りから芸術性を学んだ。フィギュアスケートの羽生結弦選手もまた、参考にする一人だ。フィギュアスケートも新体操も、高い身体能力と美しさが同居する競技。「羽生選手の作る世界観だったり、演技の美しさだったり、すごく参考にさせてもらっています」と刺激は多い。

「やらされている感とか、やらなきゃいけないという気持ちは、今もありません」

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 実は「新体操を辞めたいと思ったことは1回もないんです」と明かす。「ひたすら『うまくなりたい』という気持ちのために練習しているので、やらされている感とか、やらなきゃいけないという気持ちは、今もありません」。とにかく新体操が大好き。その純粋な想いで臨んだリオデジャネイロの大舞台は「小さい頃から夢見た場所に立ててうれしい、楽しいという気持ちが強かった」と思いきり演技できた。

 だが、目標の決勝進出は果たせず。課題と手応えを掴んで過ごした4年余りの日々は、「誰かに勝つのではなく、自分の演技を究めることを意識して練習してきました。すごく濃い時間。4年は長いと思ったけど、あっという間でしたね」と充実感に溢れる。そしてこの間、心の支えとなったのは恩師からの教えだった。

「いくら技術面の準備が整っていても、本番のマットに立った時、少しでも『できないかも』『ミスしたらどうしよう』と思ってしまうと、それがミスに繋がり、自分の力を発揮できない原因になってしまう。『最後の瞬間に自分がどう決断するかが一番大事』という言葉をすごく大切にしています」

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