インタビュー

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インタビュー

トップから健康維持まで ロンドン銀メダリストが伝える卓球の奥深さ

卓球 平野早矢香さん

全日本選手権を5度制した平野早矢香さんが語る卓球の魅力とは

 現役時代は“卓球の鬼”と呼ばれるほどストイックなまでに競技に没頭していた平野早矢香さん。オリンピックには2008年の北京大会、2012年のロンドン大会に出場し、ロンドン大会では団体戦で日本卓球界史上初となる銀メダルを獲得した。2016年に現役を引退した後はミキハウススポーツクラブアドバイザーとして次世代を担う有望選手の育成に関わるほか、スポーツキャスターとしてメディアに出演したり、講演会や卓球教室に参加したりしながら、卓球の魅力を伝える“伝道師”として活動している。

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 必要なのは卓球台とラケットとボールだけ。レクリエーションとして誰もが参加できるレベルから、高速ラリーとともに精密機械のような技術が魅力のトップレベルまで、多様な関わりあいができる卓球は、子どもからお年寄りまで幅広い年齢層が楽しめるスポーツだ。

 両親の影響で5歳から卓球を始めたという平野さん。「ラリーが続くのが楽しくて、自分でボールをコントロールして返せるようになったのがすごくうれしかったのを覚えています」と当時を振り返るが、まさかオリンピック銀メダリストになるとは夢にも思わなかったという。小学1年生から全国大会に出場するようになると、目標は日本一、国際大会出場、オリンピックでのメダル獲得と徐々にステップアップ。その一つ一つを見事クリアしていった。

 31歳で引退するまで26年続けた卓球は、もはや自身のアイデンティティのようなもの。「いろいろなご縁は全て卓球から広がったもの。本当に多くの仲間とより深い関係を築けました。海外遠征などで40か国ほど行き、いろいろな文化に触れたり、海外選手と親交を深めたり。おかげで視野が広がりました」とニッコリ微笑む。

 同じ卓球であっても「競技者としてトップを目指すことと、レクリエーションとして楽しむことは、また別物だと思っています」という平野さんが、競技としての卓球と、レクリエーションとしての卓球、それぞれの魅力について教えてくれた。

 アスリートとして向き合う卓球の魅力について、平野さんは「身体能力以上に駆け引きの部分が勝負を決めること」と話す。バスケットボールや陸上など多くの競技では、身体能力が勝敗を分ける大きな要素となるが、卓球は「頭」を使った駆け引きも大きなポイントになる。

「卓球界のレジェンド、荻村伊智朗さんが『卓球は100メートル走をしながらチェスをするようなスポーツ』という名言を残されましたが、まさにその通り。高速で打ち合う中でいろいろな駆け引きがある。卓球はメンタルや戦術が重要です。相手が自分より体格や能力で上回っていても、戦術で相手の良さを封じれば勝つことができる。そこが卓球の面白さ。試合が終わった時、もちろん身体は疲れますが、頭もかなり疲れるんですよ」

 対戦相手の特徴を把握すると同時に、選手にとって試合が持つ意味合いや前日までの流れ、互いのコンディション、ポイント数など、戦術を立てる上で考慮すべき要素は多い。さらに、自身の能力と状況についても冷静に判断できる目も必要だ。「客観的に試合を見ることができないと勝てません。反射的に動く要素と緻密な状況判断。このバランスが難しいですね」。ボールを捉えるラケットを視界に入れながら、視線では対戦相手を追い、一手二手先を瞬時に計算する。「迷ったらダメ。瞬時に自分で判断する力がないといいボールは出ません」と言い切る。

◆次ページ:シビアさが際立つ競技性と、楽しさが全てのレクリエーション性が同居

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