私たちの街のGROWING
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子どもたちのスポーツ離れを食い止める長崎市のはじめようスポーツ体験教室
長崎県長崎市
2022年9月に西九州新幹線が開通し、更なる発展が期待されている長崎市。そんな長崎市で、子どもたちが様々なスポーツを楽しめる「はじめようスポーツ体験教室」が開催されました。スポーツに触れるきっかけ作りを目的として開催された同イベントでは、幼稚園児や小学生が、野球やサッカー、ボクシングや、羽のついたボールを手で打ち合うインディアカなど11種類のスポーツを楽しむことができ、会場は子どもたちの歓声で包まれました。初開催となるイベントで成功を収められた秘訣を、長崎市役所スポーツ振興課の大井手さんにお伺いしました。
子どもたちにスポーツの楽しさを知ってもらうきっかけを。
長崎市役所スポーツ振興課の大井手さん
「全国的に問題となっていますが、長崎市も子どもたちのスポーツ離れが進んでいます。小学生の運動部や地域のスポーツクラブの加入率が、全国平均と比較して長崎市は低い状況にあります。数年前と比べても次第に数字が落ちてきており、なんとか歯止めをかけたいと考えていました(※令和3年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査基本集計)」
年々顕著になっていく子どもたちのスポーツ離れですが、一体どんな原因が考えられるのでしょうか。大井手さんはこう分析します。
「スポーツ離れの原因はいろいろ考えられますが、スマホやゲームなど自宅で遊ぶ時間が増えているのも一因だと思います。あとはスポーツに触れる機会が減って、スポーツの楽しさを知らない子どもたちが多いというのも大きな理由だと思いますね」
そこでそんな状況を打破しようと、長崎市は「はじめようスポーツ体験教室」を企画しました。2022年9月4日に出島メッセ長崎で開催されたイベントでは、サッカー・バスケットボール・バドミントン・野球・バトントワーリング・インディアカ・ハンドボール・ボクシング・卓球・剣道・チアの11種類のスポーツが体験できる教室が開かれ、合計1,430人の親子が競技を楽しみました。
「まずはスポーツの楽しさを感じてほしいという思いからイベントの立ち上げに至りました。各スポーツ体験は、子どもたちでも楽しめるように、ルールをアレンジしたり、ゴールに入れるとお菓子をもらえるなどゲーム性を持たせたりして、工夫を凝らしています。子どもたちに多様なスポーツの中から自分が楽しいと感じられるものを見つけてほしいと思い、複数のスポーツを体験すると抽選会に参加できるスタンプラリーも実施しました。
以前より市内の保護者の方から、長崎市にどんな競技団体があるのかといったお問い合わせはよくいただいており、今回、各競技団体が一同に会する会場で、実際に体験して、それぞれのスポーツの雰囲気を感じてもらうこともできるので、良い機会だと思いました」
初開催となるイベントを、ゼロからみんなで立ち上げる。
イベントは、長崎市スポーツ協会や市内の競技団体と連携し、一丸となって開催しました。
「スポーツ協会の方々とは普段から密に連携をとっており、今回の開催にあたっても快く引き受けてくれて各競技団体と連絡をとってくれました。私たち長崎市役所の職員だけでは実現が難しいのでタッグを組んでイベントに臨もうと考えました」
長崎のプロサッカークラブ「V・ファーレン長崎」とプロバスケットボールチーム「長崎ヴェルカ」も、今回のイベントに積極的にご協力いただいたといいます。
「両チームとも普段から地域貢献の一環として、小学校へ出向いて体験教室をするなど、スポーツ振興に取り組んでいます。もちろん長崎市役所としても取り組みを応援しており、そのつながりから、イベントに協力してもらえないかとお願いしました。長崎ヴェルカチアリーダーの皆さんや、V・ファーレン長崎クラブマスコットのヴィヴィくんと長崎ヴェルカクラブマスコットのルカのおかげで、会場がとても盛り上がりました」
大成功となったイベントですが、開催に至るまでは苦労もありました。
「今回が初開催で、ゼロから始まりです。何をどれだけ準備すればいいのか、どこにどのような相談をしなければいけないのか。初めて尽くしで心が折れそうになることもありました。でも、子どもたちにスポーツを楽しんでもらうという共通のゴールがあったからこそ、みんなで一年近い準備を頑張ることができましたね。正直いうと募集を始めるまで本当に人が集まるのだろうかと不安があったんです。チラシや長崎市の公式LINEで参加者を募りましたが、当日になるまで『本当に来るのかな?大丈夫かな?』と不安でした(笑)」
長い準備時間をかけて立ち上げたイベントは、参加者から大きな反響があったといいます。
「アンケートでは約96%の方が『楽しかった』と回答があり、本当に嬉しくなりました。当日、会場で楽しげにスキップをしていた子ども達が見受けられたことが非常に印象的でしたね。保護者の方にとっても発見があったようで、子どもがどんな競技に興味があるのか、どんな競技が得意なのか気付くきっかけになったようです。いろいろな選択肢の中から合うスポーツを選べることで、可能性も広がると思いますので良い効果があったと思います」
イベントは参加者のみならず、スポーツ協会や競技団体の方々にも好評だったといいます。
「協会の皆さんや競技の指導者の方々にも、『イベントをしてくれてありがとう。子どもたちに紹介することができていい体験になった』とお声をいただきました。競技人口が少ないスポーツのブースも参加者であふれ、幅広いスポーツにスポットライトが当たったのも良かったと思います。実際、参加者から競技団体に加入してみたいというお問い合わせもあったようです」
イベントの開催にはスポーツくじによる助成金を活用しています。
「もともと長崎市は、スポーツくじの助成金を活用しており、スポーツ施設の整備や改修などでお世話になっているんです。今までは、施設や設備といったハード面での活用が多かったのですが、ソフト面にも助成金を活用できることを知り、今回申請させていただきました。
助成金は会場の使用料や講師の方への謝礼など運営面に活用しました。一番のメリットは、イベントの規模を大きくできたことですね。もし助成金を受けられていなかったら、今回の会場である出島メッセ長崎を借りるのは難しかったと思いますし、種目も縮小せざるをえなかったと思います。第一回目の開催からこの規模感で開催できたのはスポーツくじの助成金のおかげです」
地域とさらなる連携を果たす未来を見据えて。
まだ長崎市の挑戦は始まったばかり。今後の展望が広がります。
「スポーツを始めてみたいと思う子が一人でも増えて、スポーツ人口が少しでも増えればと願っています。今後は体験できる種目も増やしていきたいですね。それに小さい頃からスポーツを始めると、競技力が向上するんです。欲張りですが、まずはスポーツ離れをくいとめ、そのあと競技力のレベルアップにつなげていければと思っています」
現在長崎市では、長崎駅の近くに、サッカースタジアムやアリーナを含む大型施設を開発する『長崎スタジアムシティプロジェクト』が始動しています。このプロジェクトとの連携も視野に入れているようです。
「2024年に長崎スタジアムシティが開業すると、年間を通してプロスポーツが身近で観られるようになります。体験教室のイベントを通して、スポーツに興味を持ってもらって、実際にスポーツ観戦に行ってもらう、そういった見るスポーツとも連携して、地域が元気になっていけばと思います」
今回、多くの人々の賛同を受け成功を成し遂げた長崎市の「はじめようスポーツ体験教室」。今後も続けていくうちに、子どもたちのスポーツの可能性を広げるイベントとして成長していくに違いありません。
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