インタビュー

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失意から立ち返ったスキーの原点 楽しさと基礎の再確認で呼んだ成長(2/3)

フリースタイルスキー・モーグル 堀島行真選手

見つめ直した基本のターン、殻を破った2021年2月のワールドカップ

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 2022年の北京オリンピックに向けて原点回帰したのは“気持ち”だけではない。「スキー技術の基礎だったり、身体を自在に動かすための解剖学だったり、本当の基礎が分からないとスタートできない」と、競技に対する取り組みを見直すことに。その一環として、エアで大技を狙うのではなく、ターンの精度を高めることにした。

 モーグルの採点は、1回のランにつき100点満点となっている。その内訳はターンが60点、エアが20点、スピードが20点と、ターンが最も大きな割合を占める。大技が飛び出すエアの印象が強いが、基礎となるのはベース点とも呼ばれるターンでの得点だ。

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「ターンで60点満点に近い滑りができれば、エアの難度やスピードでリスクを負わなくても点数を稼げる。オリンピックはすごく緊張する舞台なので、そこでリスクを負わずに余裕を持ってスタートするためにも、ターンの技術を伸ばしたいと取り組んできました」

 モーグルでは一般的にエアの練習を多く行うが、あえてターンの練習時間を増やした。スキー板のエッジ(板の両横についている金属部品)を雪面に立てたカービングターンを徹底的に練習。「自分のターンはみんなと違った1つ上の滑りができていると、自信を持っています」と納得の仕上がりになりつつある。

 1つ殻を破れたのは、2021年2月にアメリカ合衆国ユタ州が舞台となったワールドカップ第4戦だ。平昌オリンピック金メダリストのミカエル・キングスベリー選手をベース点で初めて上回った。ターンでは絶対的な強さを誇るキングスベリー選手を超えたことで、60点満点を目指せるポジションまできたと考えている。

「今までミカエルの方がターンが上手い印象があったので、僕がいい滑りをしても彼を超える点数にはならなかったけれど、それをひっくり返してモーグル界で一番上手いと言われる選手になれば点数の上限は上がると思うので、あとは自分の技術をどんどん伸ばしていくだけです」

 エアでは採点基準にない他種目の技やスノーボードの難しいトリックにも挑戦する“遊び心”も見せている。「すごい技を自分もやってみたいという、ただの好奇心なんですけど、できたらすごくうれしいし楽しくて」と目を輝かせるが、「難しいことに挑戦すればモーグルでターンやジャンプがしやすくなるので」と全ては技術向上に繋がっている。

 成長を求め、日々新たな挑戦に取り組む中で実感することがあるという。

「自分の中で限界を決めなければ限界はないのかなと思っています。自分で限界を作らずに、賢く怪我なくやっていきたいですね」

◆次ページ:子どもたちに伝えたいスキーで感じる非日常「ぜひ経験してもらいたい」

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