私たちの街のGROWING

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私たちの街のGROWING

町の人みんなで盛り上げる、50年以上続く福岡県志免町の大運動会

 まさに、町民の町民による町民のための運動会。かつては炭鉱の街として栄え、今では福岡市のベッドタウンとなっている福岡県志免町(しめまち)には、50年以上続く伝統の「志免町民大運動会」というイベントがあります。志免町に住む人や働く人なら誰でも参加でき、町の人口が5万人に満たない中、子どもから高齢者、障がいのある方まで毎年4000人以上が参加するこの運動会は、町民同士の交流も深まる志免町には欠かせないイベントとなっています。  町の人たちに支えられ、運動会が50年以上続けられた理由。そして続けているうちに地域に生まれた交流など、26年以上運動会に関わり続けてきた福岡県志免町社会教育課の徳永さんに語っていただきました。

はじまりは50年以上前。地元の絆をはぐくむ機会を。

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「志免町民大運動会とは、社会体育の振興及び町民相互の融和・親睦を深めることを目的に、毎年10月の第2日曜日に行っている町民のための運動会です。今年度は新型コロナウイルス感染症の影響で開催できませんでしたが、50年以上の歴史があります。
 元々は、志免町内の炭坑が相次いで閉山していく中、1962年に公民館主催で始まった町民運動会がきっかけだったと聞いています。1964年に糟屋(かすや)郡最大の炭坑であった志免鉱業所は閉山しましたが、運動会の規模はだんだんと大きくなり、1969年には町主催になりました。
 今では町をあげての運動会に発展し、毎年4000人以上が参加しています。約30の公民館をはじめ、地元の学校、企業や消防団など、子どもから高齢者まで志免町に関わりのある人なら誰でも参加できる町の一大イベントです。」

町民が一丸となってつくりあげる大運動会。

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 その盛り上がりはすごいもので、チーム内でおそろいの手作りユニフォームを作って参加するチームや、仕事終わりや休みの日に公民館に集まって、メンバーで種目の練習をするチームもあるといいます。
「運動会の開催まで、各公民館では一生懸命、種目の練習をします。町や社会教育課で呼びかけているわけではなく自発的に始まった練習なのですごいですよね。選手同士が協力し合って優勝を目指す演目も多く、その分選手の練習も応援もつい熱が入るんです。
 また運動会が盛り上がるのは種目中だけではありません。運動会が終わった後は、各公民館で懇親会が行われ夜まで盛り上がります。運動会は、それをきっかけに町民が集まる町民間のコミュニティの場になっていますし、幅広い層が参加するので普段交流のない世代との親睦も広がります。この運動会があるからか、地域の結束力は強いと感じています。運動会以外にもバレーボールやゴルフの大会などのスポーツ大会が町内で開催されることもあります。」と徳永さんは語ります。

 全国的にも珍しい大規模な町民運動会は、種目づくりや準備も町民が一丸となってつくりあげます。目指しているのはみんなが参加したくなるような手作りの運動会です。
「私たち社会教育課の職員10人が中心となって、地元のスポーツ協会や各公民館の代表者からなる12の係が話し合って準備を進めています。また、町内の企業様などにも運動会に参加していただき協力してもらいながら、志免町らしい手作りの運動会を目指しています。
 ただ、みんなに楽しんでもらえるように細部まで気を配るのは大変ですね。選手がケガをしないように前日にはグラウンドの石を拾ったり、当日は協力者をコースに配置したりして安全確認を行っています。最近は熱中症にも気をつけて、救護所で対応できるよう心がけています。」

 2019年に開催された運動会では、13種目を開催しました。
「借り物競争、むかで競争、みんなでギネス世界記録に挑戦する大繩飛び、くす玉割り、大玉ころがし、輪投げ、パン食い競争、学校対抗リレー、消防団分団対抗リレー、親子リレー、職場・団体リレー、年齢別リレー。そして志免音頭・炭坑節踊りからなる『町民の輪を広げよう』という演目を開催しました。一番盛り上がるのはやはりリレーですね。また志免町の町民に代々受け継がれてきている志免音頭も特徴的ではないでしょうか。志免町民であれば誰もが踊れる踊りです。できるだけ皆が楽しめる競技にしたいと考えこのような種目にしています。」

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 運動会を続けるために、町民の意見を取り入れることも欠かせません。毎年運動会終了後には各公民館にアンケートをとり、一つひとつの意見を、次回の運動会につなげていくと言います。
「年齢別リレーでは、ある年代の選手の確保が難しいという意見が寄せられたので、年齢別の区分けを変えて調整しました。そうやって毎年町民のいろんな声を反映した運動会にしてきました。時代に合わせて競技内容は変わってきましたが、個人が能力を競い合うような競技内容から、より安全でみんなで協力し合ってゴールを目指す競技内容に変わっていっているような気がします。それに、運動が苦手な人でも楽しめる競技を取り入れることで、すべての人が楽しめる内容になってきているのではないでしょうか。」

 参加者の中には、毎年50人ほど障がいのある方がいて、一緒になって運動会を盛り上げます。
「町民みんなの運動会ということで障がいのある方々にも一緒になって盛り上げてもらっています。一番心がけているのは、参加者の皆さんにケガがないように安全に配慮することです。その他にも本部の横にテントを配置し、プラカードを掲示して種目の案内をしてもらうなど、運営の一部を担ってもらうことも心がけています。また、町内のボランティア連絡協議会にも、介助・手話通訳をしてもらっています。町民と障がいのある方との交流が生まれるという点で良い影響もあるのではないかと思っています。
 子どもから高齢者、障がいのある方まで参加するこの運動会は、スポーツ活動への参加のきっかけづくりや地域のスポーツ環境づくりに役立っていることと思います。だから続けていくことに意味があると思うんです。」

この先もずっと続き、ずっと愛される運動会を目指して。

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 続けていくことに大きな意義がある運動会ですが、大規模な運動会を維持・発展させていくためには費用もかかります。近年ではその課題を解決するために、スポーツくじ(toto・BIG)の助成を受け始めました。
「今までは町民から集めた町会費で全ての開催費用を賄っていましたが、開催規模が大きくなるにつれて、段々とそれが難しくなってきました。大会を存続させるために試行錯誤していたところ、スポーツくじの助成金を知り申請しました。スポーツくじの助成金を活用して、例えば人や車などが混雑する会場周りには警備員を配置することでスムーズな交通整理ができました。また、きらびやかなものはできませんが、入退場門を設営することで運動会らしい会場づくりができていると思います。スポーツくじの助成金のおかげで、時代や町民のニーズに合わせた運動会を長い間開催できています。」

「この先どんな時代になっていくかはわかりませんが、志免町の運動会はずっと続けられたら良いと思います。小さい頃から何十年も参加されている方や、一度は志免町を離れていてもまた町に戻ってきて参加してくれる方など、多くの町民が一堂に会し参加できる運動会となっていることに喜びを感じます。
 この先も子どもから高齢者、障がいのある方までが参加できる競技があり、多くの町民の参加によって、今後も地域スポーツの推進と町民相互の融和・親睦を深める運動会にしたいと思っています。町民みんなが一緒になってできる唯一のスポーツの行事なので、未来につなげていきたいです。」と語る徳永さん。
 住民同士のつながりが希薄になっていると言われている現代ですが、志免町ではそんなことを感じさせません。50年以上続けてこられたのも、運動会に対する町民の情熱と協力があってこそ。町民に愛されるこの運動会は、この先もずっと続いていくことでしょう。

アンケートにご協力ください。

Q1

本記事を読んで、スポーツくじ(toto・BIG)の収益が、日本のスポーツに役立てられていることを理解できましたか?

とても理解できた
なんとなく理解できた
理解できなかった
Q2

スポーツくじ(toto・BIG)の取り組みに共感できましたか?

とても共感できた
なんとなく共感できた
共感できなかった
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