インタビュー

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抱き続ける挑戦者の気持ち BMX界の寵児が取り戻した“攻め”の姿勢

BMXフリースタイル・パーク 中村輪夢選手

国内では敵なし、海外でも屈指の実績がプレッシャーに

 メダルを期待された東京オリンピックは、自分でも納得のいかない走りで5位に終わった。BMXフリースタイル・パークの中村輪夢選手は試合後、何度も「悔しい」と繰り返した。

 19歳で迎えた東京オリンピックは出場9選手のうち、ただ一人の10代だったが、2019年にはUCI BMXフリースタイル・パーク ワールドカップ(W杯)年間総合優勝を達成。権威あるX Gamesでは2019年ミネアポリス大会で銀メダルに輝き、BMXフリースタイル・パーク史上最年少メダリストになるなど、その実力は折り紙付きだった。「そこ(東京オリンピック)に懸けていた」というだけに悔しさは募る。だが、それは決してネガティブな感情ではなかったという。

「悔しいけど本当に落ち込むというよりは、『次はやってやるぞ』という気持ちでしたね」

 本番まで1年を切った2020年9月に足を負傷した影響がなかったと言えば嘘になる。だが、何より肩に力が入りすぎていたことに気が付いた。

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「オリンピックの1年前くらいから去年(2022年)の春くらいまで、大会ではまったく想い通りの演技ができていませんでした。練習では新しい技もできて、成長できていると思っていたんですけど、大会になるとちょっと考え過ぎていたというか。もう少し若い頃はシンプルに『勝ちたい』という気持ちで攻められたのが、だんだん『負けたらアカン』という気持ちが強くなっていました」

 これまで6回開催された全日本BMXフリースタイル選手権大会では5回優勝し、現在も4連覇中。日本では向かうところ敵なし、海外でも一流選手とトップを争う実績が、無意識のうちにプレッシャーとなっていたようだ。

「与えられた1分間で自分が想う通りの走りができれば、結果は後から付いてくる。そう信じて、結果を考えるよりも、まずは自分のいい走りをすることに集中しました。そうしたらだいぶリラックスできて、2022年は結果にも繋がってきた感じですね」

 2022年はW杯初戦となるFISE World Series モンペリエ大会で優勝すると、11月のUCIアーバンサイクリング世界選手権大会でも初優勝し、日本人初の快挙を達成。「まだまだ挑戦者の気持ちで攻めていきたい」という言葉を見事、体現してみせた。

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