インタビュー

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5大会出場オリンピアンが未来に伝えたい スキー競技の魅力と学び

フリースタイルスキー・モーグル 上村愛子さん

オリンピック5度出場の上村さんが伝える「経験」の大切さ

 2月4日から20日の日程で開催された北京オリンピック。17日間の会期では7種のスポーツから15競技109種目が実施され閉幕を迎えた。雪や氷が織りなす白を基調とした世界で繰り広げられた真剣勝負を、今後さらに楽しむためにも「雪や氷の上を一度歩いてほしいと思います」と語るのは、1998年長野大会から2014年ソチ大会まで冬季オリンピックに5大会連続で出場したフリースタイルスキー・モーグル元選手の上村愛子さんだ。

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「雪がどれくらい滑るものなのかとか、氷の上でどう身体を使えばいいのかとか、想像がつきにくいのではないかと思います。だから、スキーやスケートを体験しないまでも、雪や氷の上を歩いてみると意外と均一ではないことが足の裏から伝わってきて、そこを正確に滑る選手の凄さが分かると思います」

 体験して初めて分かることもある。モーグル界のトップ選手として長らく活躍し、オリンピックで5大会連続の入賞を果たした上村さんでも「運動は何でも得意だと思っていたのに、スケート靴を履いてリンクに立った瞬間、足が震えてしまって。スケートは全然できないんです」と笑う。

 スキーでも同じことが言える。オリンピックではアルペンスキー、クロスカントリースキー、フリースタイルスキー、ノルディック複合、スキージャンプ、スノーボードの6競技が行われるが、モーグル(フリースタイルスキー)を専門とする上村さんにとって他競技はハードルが高く、それぞれの競技者に対してリスペクトしかない。

 例えば、アルペンスキー。小学生の時はアルペンスキーをやっていた上村さんだが、現役時代にアルペンスキーの練習場にモーグル用のスキー板で立った時、バーン(斜面)が想像以上に硬く「立っているだけで必死でした」と振り返る。それというのも、国際大会では雪が簡単に掘れないように芯から固めてコースを作るため、バーンの表面は氷のように硬くなっているからだ。

「斜度のあるハードなバーンで、ゲートを通過するため左右に大きく振られながら滑る。アルペン選手は身体能力はもちろん、瞬発力も持久力も全部必要です。一般的に考えたら曲がれないだろうというゲートを、高い技術をもって曲がれる角度でしっかり周り、誰が一番速いかを競うスポーツ。タイムを見る面白さもありますが、選手が戦っている状況が分かると、さらに楽しめると思います」

 また地元・長野県白馬村にあるスキージャンプ台のスタート地点に立った時、アプローチの長さ、そのスピードを想像しジャンプ選手が積み上げる自信の大切さを痛感したそうだ。

「スタートすらできないでしょうね(笑)。スキージャンプ台は一度スタートしたら途中で止まることができないので、スタートを切ったら飛ぶしかない。その覚悟は凄いですよね。子どもの頃に小さな台から飛び始めた積み重ねがあって、あんなに大きなジャンプ台で飛べるようになるわけですが、選手はジャンプに関しては自分に絶対の自信をつけないとスタート位置に立つことはできないと思います」

◆次ページ:色褪せない長野大会での経験、夢を持てたオリンピックという舞台

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