インタビュー

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人生を変えた競技との出会い 金メダリストが描くパラスポーツの未来

パラバドミントン 山崎悠麻選手

「スポーツから学ぶ、成長のヒント」GROWING byスポーツくじ。今回は、東京パラリンピックのパラバドミントン女子ダブルス(WH1-WH2)で里見紗李奈選手とペアを組み、見事金メダリストとなった山崎悠麻選手が登場する。女子シングルス(WH2)でも銅メダルを手にした山崎選手が願うのは、パラスポーツが社会の中でより身近な存在になること。前編では、自身が競技と出会った当時のこと、愛息2人の仲間たちとの交流について触れながら、想い描くパラスポーツの未来について語る。

「もっとお客さんに試合を観に来てほしい」そのためには…?

 障がいのあるアスリートにとって、パラリンピックは世界最高峰の国際大会だ。2021年の東京パラリンピックでは、日本選手団が史上2番目に多い51個のメダルを獲得。自国開催とメダルラッシュによって、パラスポーツは広く認知され、注目されるところとなった。

 しかし、パラスポーツ普及の観点において、この一大会での盛り上がりを一時的な「バブル」で終わらせるわけにはいかない。各パラ競技団体は東京大会後も引き続き、普及活動に力を入れている。

「パラバドミントンも、もっとお客さんに試合を観に来てほしい。でも、そもそも大会の情報やスポーツそのものを知らないと、観に来てもらうところまでたどり着かないですよね」

 そう話すのは、パラバドミントンの山崎悠麻選手。

「引退された国枝慎吾さん(元プロ車いすテニス選手)が、自らいろいろな場所に出向き、活動されている姿を、すごい、という気持ちで見ています。多くの方にパラスポーツを観てもらうためには、やはり選手からももっと、何か発信できるといいのかなと思います」

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 山崎選手自身、パラバドミントンを始めるまで、日常生活の中で車いす生活を送る人と出会うことがほとんどなかったという。「車いすの人を目にする機会がなければ、知るきっかけも得られない」。自分にできることを考えながら、とにかく積極的に出歩くよう心掛けている。

「土日は2人の息子のサッカーの応援や、彼らのチームのお手伝いに行くのですが、行くと他の子どもたちが珍しがって、結構、声を掛けてくれるんです。子どもは好奇心のかたまり。『車いすの運転ってどうやるの?』『お風呂はどうやって入るの?』など、気になることは何でも聞いてくれますし、『自分も押してみたい!』とも言ってくれる。質問されれば私もその場ですぐに教えられますし、楽しいですよ」

 車いすの使い方について会話する時には、車いすバドミントンについても伝えている。きっと、子どもはそこで聞いた話を、家族や別の友達に教えるだろう――。山崎選手は、そうやって、人から人へと伝わることに、良さを感じている。

「他にも、犬の散歩をしていると、“アレ?”という感じで見てくれる人や、『あ、パラリンピックの人!』と言ってくれる子どもがたくさんいます。出歩くことでパラスポーツを広めることに、少しは寄与できているのかな」

パラスポーツの存在を知ってもらう大切さを実感

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 国内で開催される大きな大会も、認知度を上げるチャンスだ。山崎選手がパラバドミントンを始めるきっかけとなったのも、知人から聞いて観に行った2013年全国障害者スポーツ大会だった。その会場で、大会に出場していた選手から「一緒にやろうよ」と声を掛けられたことから、競技人生がスタートした。

「大会の情報を教えてくれたのは、バドミントンをやっていた当時の友人の家族です。そう考えると、やはり障がいを持つ本人や家族だけでなく、周囲の人にパラスポーツを知ってもらう大切さを感じます。

 私が思うのは、障がいのある・なしに関わらず、一緒にスポーツを楽しめる体験会や大会があるといいな、ということ。例えば、健常者の方も車いすに乗れば出られる車いすスポーツの大会があったら、『じゃあ、出場してみようかな』とモチベーションも上がるのではないでしょうか。

 いろいろなパラスポーツで、そんな風に参加できる会があったら面白いですよね。私自身、他のパラアスリートの方と一緒に違うスポーツをやってみたいです」

 スポーツくじの収益による助成金も、パラスポーツの普及・発展を支えている。パラバドミントンではこれまで、Para Badminton World Championshipsや日本知的障がい者バドミントン選手権大会の開催などに役立てられた。

「一つの大会を開催するにも、たくさんの資金が必要です。特にパラの大会では、設備や人員など、健常者の大会以上に必要なものがたくさんあります。だから、大会をサポートしてくれるボランティアの方の助けや、スポーツくじの助成は本当にありがたいです」

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 山崎選手にとって、パラバドミントンとは――?そう問いかけると、「世界が広がったきっかけ」という答えが返ってきた。

「私は車いすユーザーになる前の小・中学生時代も、バドミントンをやっていました。でも当時は、決して国を背負って戦うようなレベルの選手ではなかったんですね。だけど、25歳でパラバドミントンに出会い、再びスポーツを始めたことで、世界で戦う面白さを知ることができたし、たくさんの車いすスポーツがあると知りました。世界に出ると、自分では全く勝てない選手がまだまだたくさんいます。今、そういう選手たちと試合をすることが本当に楽しいし、面白い。それがパラバドミントンで得た一番大きな収穫です」

後編では、「競技」と「育児」のバランスをどのように保っているのか、そして山崎選手にとっての家族の存在についてお聞きします。

(後編はこちら)「家族はパワーの源」 競技へのモチベーションを高めた家族の存在

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山崎 悠麻やまざき ゆま

1988年4月8日生まれ。東京都出身。小学2年生から中学卒業時までバドミントンをプレー。高校1年の時に交通事故で脊髄を損傷し、車いす生活となる。2013年に全国障害者スポーツ大会でパラバドミントンを観戦し、大会に出場していた選手に誘われて趣味として始める。出産のため一時競技から離れたが、2014年に復帰。同年12月の日本障がい者バドミントン選手権大会で準優勝、2015年のパラバドミントン世界選手権でベスト8となり、本格的に競技に取り組むことに。2017年に調布市役所を退職し、NTT都市開発に移籍。2018年アジアパラ競技大会では里見紗李奈選手(NTT都市開発)と初めて臨んだダブルスで銅メダルを獲得した。2021年東京パラリンピックではパラバドミントン女子シングルス (WH2)で銅メダル、女子ダブルス(WH1-WH2)で金メダルを獲得。世界ランキングは女子ダブルス1位。シングルス2位(2023年7月時点)。

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